ギターやベースを弾く前に必ず行うチューニング。これを手軽で簡単にできるようにするアイテムは、そうクリップチューナーですね。
というわけで今回は、クリップチューナーの基本的な仕組みと選び方を説明したうえで、ECサイトなどで販売されている中からピックアップしたおすすめ製品を紹介したいと思います。
クリップチューナーとは? その基本的なしくみ
まずは、クリップチューナーについての基本的な部分をおさらいしてみたいと思います。
クリップチューナーとは、ギターやベースのヘッドに取り付けるチューナー
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そもそも「チューナー」は、チューニング(楽器の調律)をする機器のことです。これにクリップが付いて、ギターやベースのヘッドに挟んで取り付けることができるのが、今回紹介するクリップチューナーになります。
ちなみに、「クロマチックチューナー」と言ったりすることもありますが、この「クロマチック」は「半音階の」という意味です。ギターやベース用のチューナーは、基本的に「クロマチックチューナー」になります。
クリップチューナーの仕組み(ピエゾによって音を感知)
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クリップチューナーには「ピエゾ」が組み込まれています。これは「圧電素子」ともいい、圧電効果(加えられた力〔圧力〕によって電気を発生)と、逆圧電効果(電気を加えることで力〔圧力〕を発生)を発揮する素子です。主にセラミックが使われています。
なので、クリップチューナーの中にある「ピエゾ」は、ギターやベースの振動(音)で電気を発生し、これによって音程を判定して表示する、という仕組みになっています。
そして、クリップチューナーには次のようなメリット・デメリットがあります。
先に少し触れていますが、他の方式としてマイク式と信号タイプがあります。
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マイクで音を感知(電気信号に変換)し、これによって音程を判定して表示します。
ちなみに、マイクだけでなく、ライン入力にも対応し、コンタクトマイク(仕組みはクリップチューナーと同じで、ピエゾが組み込まれている)が付属して、さらにメトロノーム機能もある製品が多いです(上の写真)。
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ライン入力からの電気信号によって音程を判定して表示します。上の写真のような、ペダルチューナーが一般的で、ライブハウスのステージ上で使うのに適しています。
クリップチューナーの選び方
ここからは、クリップチューナーの選び方について見ていきます。
横型か縦型かで選ぶ
ディスプレイが横型か縦型か
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クリップチューナーのディスプレイには、横型のものと縦型のものがあります。横型のものは、ギターやベースのヘッドに取り付けた際に、前方への飛び出しが多くなりがちです。縦型のものは、角度を調節することで、この前方への飛び出しを少なくすることができます。なので、この前方への飛び出しが気になるかどうかが選ぶポイントになります。
ちなみに、ディスプレイが丸型(筐体はほぼ正方形)のものもあります。
インジケーターが縦型か横型か
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クリップチューナーの音程を示すインジケーターには、縦型のものと横型のものがあります。縦型と横型では直感的な違いがかなりあるので、これまでに使っていたチューナーがある場合は、それに合わせた方が良いですね。
なお、インジケーターが縦型のものは、ディスプレイも縦型の方が相性が良いでしょう(ディスプレイが縦型で、インジケーターが横型だと、インジケーターの動く範囲が狭くなって、視認性が少し悪くなるかも…)。
横型インジケーターのものを少し右に傾けて使うと、ユーザーからは「インジケーターは、音程が高くなると下に行き、低くなると上に行く」というように見えます。これは、縦型インジケーターの「インジケーターは、音程が高くなると上に行き、低くなると下に行く」と反対です。
そのため、普段は横型インジケーターの製品を使っている人が、縦型インジケーターの製品を使うと、かなり戸惑ってしまいます(経験談)。なので、所有するチューナーのインジケーターの向きは統一した方が良いでしょう。
カラー表示かどうかで選ぶ
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クリップチューナーのディスプレイには、カラー表示、2色表示(チューニングが合ったときに色が変わる)、単色表示のものあります。ぶっちゃけ言うと、チューニングをするのには単色表示のもので特に問題はありません。しかし、たとえばカラー表示ものは、「インジケーターが、低いところでは青で発光し、高いところでは赤で発光する」といった感じになっていて、視覚的により分かりやすいですし、見ていて楽しいです。なので、「どうしても単色表示がいい」という場合以外は、カラー表示または2色表示のものを選んで良いでしょう。
初心者はモード選択可能なものが使いやすい
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クリップチューナーの中には、ギターやベースなどのモードを切り替えることのできるものがあります。このモードは、たとえばギターの場合、6弦をE(ミ)、5弦をA(ラ)、4弦をD(レ)、3弦をG(ソ)、2弦をB(シ)、1弦をE(ミ)に合わせる際に、この6~1の弦番号が表示される、というものです。同様に、ベースの場合は4弦をE(ミ)、3弦をA(ラ)、2弦をD(レ)、1弦をG(ソ)に合わせる際に、この4~1弦番号が表示されます。
特に初心者の場合は「どの弦が、何の音なのか分からない」ということも多いので、こうした機能のある製品が使いやすいでしょう。
ディスプレイの角度調節の範囲で選ぶ
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クリップチューナーのディスプレイは、製品によって可動域がかなり広いものもあれば(上の写真)、一方向くらいしか可動できないものもあります(下の写真)。
可動域が広いものは、自分の見やすい角度に調節できるので使いやすいでしょう。ただし、製品の外形寸法が大きくなり、また関節部分が壊れるリスクもあります。
可動の範囲が狭いものは、多少の見にくさはありますが(クリップを挟む角度を調節したりして慣れれば平気です)、全体的にコンパクトサイズとなり、関節の構造が少ないので壊れにくいので、ポケットなどに気軽に入れて持ち運べるでしょう。
レフティの場合は表示反転または180°回転が可能なものにする
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レフティのギターやベースの場合、クリップチューナーを普通に(ヘッドの表側に)付けると上下が逆になるので、音階を示すAやBなどの文字が逆さまになってしまいます。なので、レフティの場合は、文字の表示が反転可能な製品、またはディスプレイ部分が180°回転が可能な製品にすると良いでしょう。
また、文字の表示が反転可能な製品、ディスプレイ部分が180°回転が可能な製品は、クリップチューナーを上の写真のように(レフティではないモデルの)ヘッドの裏側に付ける場合にも対応することができます。
周波数が調整可能なモデルもアリ
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A4の音(ギターの5弦開放の音)は、基本的に国際基準の440Hzに合わせます。そのため、チューナーも、やはり基本としてA4を440Hzで合わせるようになっています。一般的には、この440Hzで問題ありません。
しかし、プロのレコーディングの現場では441Hz、クラッシックでは442Hzが用いられることもあるので、これに対応するために周波数が調節可能なチューナーもあります。なので、もし周波数を変える必要がある(もしくは今後変える可能性がある)場合は、それの調節が可能な製品を選びましょう。
オートパワーオフ機能がある製品が便利
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オートパワーオフ機能とは、音を感知しないで一定時間(5分や10分程度)が過ぎると自動的に電源が切れる機能のこと。これがあれば、もし電源をオフにするのを忘れてしまった場合でも、不必要な電池の消耗を防ぐことができます。
なので、オートパワーオフ機能はクリップチューナーにはなくてはならない機能と言っても過言ではないですね(実際に、ほとんどのクリップチューナーには、この機能が搭載されています)。
クリップチューナー おすすめランキング
ここからは、クリップチューナーのおすすめ製品をランキング形式で紹介していきたてと思います。
第1位:D’Addario PW-CT-17BK
豊富なカラーバリエーションで好きな色を選べる
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ディスプレイは縦型、インジケーターも縦型の製品。表示はカラーで、低い部分はイエロー、高い部分ではレッドで発光し、音が合うとブルーが発行します。
回転パーツが2つあるスウィブル・アームデザインを採用し、ユーザーから見えやすい位置にセッティングが可能です。また、ディスプレイを回転させることで、レフティにも対応することができます。周波数の調節も可能です(430Hz~450Hz)。ただし、モード選択はできず、クロマチック(半音階)のみになります。
紹介してるのはブラックで、他のカラーバリエーションとしてイエロー、グリーン、パープル、ブルー、レッドもあります。
第2位:micawber MW-2058
1,890円(税込)
角度調節は長いアームでかなり高い自由度、周波数の調節は10単位でも可能
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ディスプレイは横型、インジケーターも横型の製品。表示は2色で、基本はオレンジで発光し、音が合うとグリーンになります。モード選択が可能で、ギター、ベース、ヴァイオリン、ウクレレ、クロマチック(半音階)のモードがあります。
そして、ディスプレイを接続するアーム部分が長いので、左右・前後への可動域がかなり広くなっています。また、ディスプレイを回転させることで、レフティにも対応することができます。
周波数の調節も可能(410Hz~490Hz)。周波数を調整する際に、ボタンを長押しすると10単位で変えられるので、目的の数値に素早く合わすことができます。
第3位:GRANPRO Beetle1
バックライトも付きで暗いステージでも視認性を確保
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ディスプレイは縦型、インジケーターも横型の製品。表示は2色で、基本はブルーで発光し、音が合うとグリーンになります。バックライトも付いているので、暗いステージでも視認性を確保してくれます。モード選択が可能で、ギター、ベース、ヴァイオリン、ウクレレ、クロマチック(半音階)のモードがあります。
ディスプレイは125°まで傾けることができ、回転は360°可能。なので、ディスプレイを回転させることで、レフティにも対応することができます。ただし、周波数は440Hz固定で、調節はできません。また、オートパワーオフ機能については記載なしです。
第4位:KORG AW-LT100G
3,183円(税込)
三角形のシャトル・スイッチ採用、単4電池で100時間の連続使用、3種類のメーター・ディスプレイ・モード
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ディスプレイは横型、インジケーターも横型の製品。表示はカラーで、低い部分はブルー、高い部分はレッドで発光します。ディスプレイを接続するアーム部は長く、可動域はかなり広めなので、ディスプレイを回転させればレフティにも対応することができます。周波数の調節も可能です(436Hz~445Hz)。
特徴的なのは、三角形のシャトル・スイッチを採用していることで、直感的な操作ができるようになっています。また、クリップチューナーとしては珍しく単4電池を使う仕様で、100時間の連続使用ができます(他の製品はほとんどがコイン電池〔CR2032〕を使用していて、連続使用時間は18時間程度)。単4電池はコイン電池よりも重さがありますが、この製品は本体を軽量化することで、快適な使用感を確保しています(電池込みで32g)。
そして、3種類のメーター・ディスプレイ・モードがあり、レギュラー・モード、ストロボ・モード(メーターが流れる方向と速度でピッチの変化を示し、細かな誤差まで視認しやすい。±0.1セントまでの超高精度チューニングが可能)、ハーフ・ストロボ・モードから選択することができます。
なお、楽器ごとのモード選択は不可で、ギター専用となります(ベースやヴァイオリンなど、それぞれに専用モデルがあります)。専用モデルとし、専用回路を搭載することでメーターの反応速度が速くなっています。
第5位:BOSS TU-05
大きな丸型のディスプレイとインジケーター、充電式バッテリーを内蔵
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大きなディスプレイは丸型で、インジケーターも丸型の製品。表示はカラー色で、音が低いところではグリーン、高いところではレッドで発光し、音が合うとブルーで発光します。これは、なかなか見やすそうですね。モード選択も可能で、ギター、ベース、ウクレレ、クロマチック(半音階)のモードがあります。
そして、大きな特徴は、何と言っても充電式バッテリーを内蔵していること。付属のUSBケーブルを使って充電することで、最長10時間の連続使用が可能となっています。また、ディスプレイを回転させることで、レフティにも対応することができます。周波数の調節も可能です(431Hz~449Hz)。
第6位:KORG PC-2+
LEDメーターを採用、LEDの強弱でピッチを表現、3種類のメーターの表示モード搭載
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ディスプレイは横型、インジケーターも横型の製品。表示は2色のLEDメーターで、音の合っていない部分は赤のLEDが発光し、音が合うところでブルーのLEDが発光します。隣り合った2つのLEDが点灯する場合には、光の強さで高低を表してくれます。
ディスプレイは上下反転させることで(リバース表示)、レフティにも対応することができます。周波数の調節も可能です(436Hz~445Hz)。さらに、3種類のメーターの表示モードがあり、レギュラー、ストロボ(メーターが流れる方向と速度でピッチの変化を示し、細かな誤差まで視認しやすい。±0.1セントまでの超高精度チューニングが可能)、ハーフ・ストロボから選択が可能です。
第7位:D’Addario PW-CT-12
3,598円(税込)
縦横の切り替え可能なディスプレイとインジケーター、目立ちにくいミニマムデザイン
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縦横の切り替え可能なディスプレイとインジケーターを装備した製品。表示はカラーで、音が多く外れているときにはレッド、少し外れているときにはイエローで発光し、音が合うとブルーになります。
角度調節の範囲は大きくなく、ディスプレイの回転のみとなりますが、その分目立ちにくいミニマムデザインとなっています。ディスプレイは上下反転させることで(リバース表示)、レフティにも対応することができます。レフティでないモデルの場合、ヘッドの後ろにつけることも可能です(上の写真)。周波数の調節も可能です(410Hz~480Hz)。
おわりに
今回は、クリップチューナーのおすすめ製品を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
「貧乏学生の頃は、チューナーを買うお金がなくて、音叉を使ってチューニングをしていた」なんて人も結構いるかと思います。しかし、やはりステージ上ではチューナーがあった方が圧倒的に便利ですよね。なので、上記を参考にしてクリップチューナーを入手し、ステージでの素敵な音色を奏でてくださいね。