先日、CPUやCPUクーラーなどを新しいものに交換したのですが、そのCPUクーラーの冷却性能がイマイチだったので、再度、新しいものに交換しました。今回は、その交換作業と、新旧CPUクーラーの比較などについて書いてみたいと思います。
ちなみに、先日の記事は↓になります。
目次
upHere D6DCはIntel Core Ultra 7 265Kには力不足
前回交換したCPUはIntel Core Ultra 7 265Kで、そこに取り付けたCPUクーラーはupHere D6DCです。
このCPUクーラーはヒートパイプがCPUに直に接するダイレクトタッチ式となっていて、これを使ってみたいと思って選びました。
なのですが、これはIntel Core Ultra 7 265Kには冷却力不足でした。
CINEBENCH R23を実行すると、10秒もしないうちにTjMaxの105℃に達してしまうのです(室温23℃)。
また、その後いろいろと調べてみると、以下のような「ダイレクトタッチ式は冷えない」という主旨の記事もありました。
ヒートパイプダイレクトタッチに対するサイズの考え
編集部:
サイズとしての見解では、ヒートパイプダイレクトタッチは冷えないという結論でいいでしょうか。
渡辺氏:
結論から言えばそうなります。正確には、ある一定以上の冷却性能が出ないということでしょうか。
これは、CPUクーラーを買い替えるしかなさそうです。
Thermalright PHANTOM SPIRIT 120 SE ARGBを購入
ということで、いろいろと悩んだ結果、Thermalright PHANTOM SPIRIT 120 SE ARGBを購入しました。
この製品にした理由は、デュアルタワー・デュアルファンで、かつヒートパイプが7本と他の製品よりも多かったからです(他はヒートパイプが6本のものがほとんど)。
そして、こちらはもちろんダイレクトタッチ式ではありません。
自作PCをバラしてケースを加工する
このPCケース(GIGABYTE GZ-X1)は発売が2008年と古く、当時はパックパネル式のCPUクーラーはなかったため、マザーボードをネジ止めするパネル部に穴が開いていません。なので、パックパネル式のCPUクーラーを交換するには、マザーボードごと取り外す必要があります。すごく大変…。
そして、今後もCPUクーラーを交換するかもしれないかと思いまして、PCケースのパネル部に穴を開けてしまうことにしました。
自作PCをバラす
ということで、マザーボードやHDD、グラボなどのパーツを取り外しました。
このように、マザーボードをネジ止めするパネル部に、穴は開いていません。
PCケースのパネル部に穴を開ける
パネル部の裏側に、穴を開けるための線を引きました。穴の位置は、マザーボードとCPUの位置から、「だいたいこれくらいかな~」という適当な感じで決めています(←これは良くなかったです)。
穴の位置の角に、ハンドドリルで穴を開けます。しかし、パネル部が硬くて、こんな細いドリルで穴を開けるだけで、ものすごく疲れてしまいました。
なので、電動ドライバーの先にドリルビットを着けて、さらに大きい穴を開けました。
ここで、エンジニアのハンドニブラー/TZ-20の出番です。これは、金属板を噛みちぎるようにしてカットするツールです。これを使って、パネル部をカットします。
出典:株式会社エンジニア サブチャンネル

初めて使うツールなので、最初は手こずってなかなか進みませんでしたが、次第に慣れてきて、後半はスムーズに進みました。結局、1時間以上かかって、穴を開けることができました。

そして、マザーボードを仮止めして穴の位置を確認してみたところ、なんとズレてました。バックパネルの向かって左の部分が、まだ少し隠れています。

そのため、穴をもう少し拡張しました。今度は大丈夫みたいです。

切り口はバリを取ってから、テープを貼ってカバーしました。
それと撮影し忘れましたが、塗装が剥げたところと、切り口の塗装もしています。
新しいCPUクーラーを取り付ける
まずは、装着していたCPUクーラー upHere D6DCを取り外しました。そして、新しいCPUクーラー Thermalright PHANTOM SPIRIT 120 SE ARGBを取り付けていきます。
マザーボードを裏返して、LGA1700用のバックパネルを設置します(Intel Core Ultra 7 265KのソケットはLGA1851ですが、CPUクーラーはLGA1700用のものと互換性があります)。
このとき、バックパネルに両面テープが付いていたのですが、それは使いませんでした。古いバックパネルを取り外すときに、両面テープを剥がすのがすごく大変だったからです。両面テープは使わなくても特に問題ないですし。
バックプレートのネジ穴が飛び出たところにスペーサーを置いて、
CPUクーラーのブリッジをネジ止めします。
CPUにサーマルグリスを塗ります。お気に入りは「X」塗りです。相変わらずキレイに塗れませんでした(笑)。
ベースプレートの保護フィルムを剥がして、
CPUの上に乗せてネジ止めします。
冷却ファンを取り付ければ、CPUクーラーの交換は完了です。
そして、取り外したパーツを元に戻します。
Thermalright PHANTOM SPIRIT 120 SE ARGBの冷却力は?
CINEBENCH R23でのCPU温度が下がった
CINEBENCH R23を実行したときのIntel Core Ultra 7 265Kの温度を、upHere D6DCとThermalright PHANTOM SPIRIT 120 SE ARGBで比較してみました。室温は23℃です。
■upHere D6DCでのCPU温度
前述のように、upHere D6DCでは冷却力不足でした。CINEBENCH R23を実行すると、10秒もしないうちにTjMaxの105℃に達してしまいます。
■Thermalright PHANTOM SPIRIT 120 SE ARGBでのCPU温度
こちらの場合、CINEBENCH R23の実行中はずっと80℃前後で落ち着いていて、最高でも82℃となりました。かなり冷却力が向上しています。
CINEBENCH R23のスコアも向上
スコアにも違いが現れました。
■upHere D6DCでのスコア
■Thermalright PHANTOM SPIRIT 120 SE ARGBでのスコア
upHere D6DCではMulti 3055pts・シングル 2197ptsでしたが、、Thermalright PHANTOM SPIRIT 120 SE ARGBではMulti 34084pts・シングル 2222ptsに向上しました。
ファンの光の回転方向が揃った
それから、CPUクーラーのファンとケースファンの、LED効果「波動2」での光の回転方向が揃ったのも良かったです。
■upHere D6DCの場合
upHere D6DCの光の回転方向は、ケースファン(リアはThermalright TL-P12-S、左下はThermalright TL-C12C-S)とは逆でした。これがイマイチだなぁと思っていたんですが、仕方ないと諦めていました。
■Thermalright PHANTOM SPIRIT 120 SE ARGBの場合
これが、交換したCPUクーラーは、ケースファンと光の回転方向が同じでした。小さな不満でしたが、解消されて良かったです。
おわりに
以上のように、今回のCPUクーラー交換は、冷却力が向上してベンチマークのスコアも上がり、さらにケースファンと光の回転方向も揃うなど、全体的に良い結果となりました。手間、暇、お金をかけて交換してよかったです。でも、こういうのって、実際にやってみないと分からないのでドキドキでした。
この記事が、CPUクーラーの購入を考えている人の少しでも参考になれば幸いです。