以前の記事で書いたように、長年使ってきた自作PCの主要パーツ(CPU、マザーボード、メモリなど)を交換しました。その際に余ったパーツが出たので、それを別の自作PCに移植し、さらにOSをWindows 10からWindows 11にアップグレードしてみました。今回はその移植作業と、OSアップグレードの様子などを書いてみたいと思います。
ちなみに、以前の記事はこちら↓です。
目次
前回の作業で余ったパーツ
約9年間も使ったパーツたち、でもまだ使う
前回の交換作業で余ったパーツはこちらです。
これらのパーツは2015年に購入し、2024年12月に取り外したので、約9年間も使ったことになります。これだけ使えば、とっくに元は取れていますね。
ですが、これらをバックアップ用の自作PCに移植し、Windows 11をインストールして、まだまだ使い続けるつもりです。
CPUのサーマルグリスを塗り直す
移植の前に、CPUのサーマルグリスを塗り直すことにしました。約9年間も使ったので、グリスもさぞかし乾いていることかと思いきや…
予想に反して、そこまで乾いてはおらず、まだ使えそうな感じでした。しかし、せっかく外したので、グリスを塗り直します。
古いサーマルグリスとホコリを拭き取り、キレイにしました。
そして、サーマルグリスを塗り直したのですが、そのグリスはなんと約9年前に購入したCPUクーラーに付属していたものです。チャック付きのビニール袋に入れていたおかげもあってか、グリスは全く乾いておらず、全然使えそうな感じだったからです。
ただ、残っていた量があまり多くなくて、ほんとにギリギリで足りました。良かったです。
CPUクーラーを再び取り付けました。
パーツを移植するバックアップ用の自作PC
主なスペック
パーツを移植するバックアップ用の自作PCは、主に以下のようなスペックとなっています。
CPUは2008年8月発売で、その直後にマザーボード・メモリ(4GB)と一緒に購入したと思います。その後、2.5インチSSDやHDD 4(16TB)、メモリ(4GB)、2.5Gbpsイーサネットアダプタなどのパーツを追加したりしています。光学ドライブや3.5インチHDD 1(500GB)・ HDD 2(2TB)・HDD 3(2TB)などは、それ以前(古いのは、たしか2002年とか…?)から使い続けています(モノ持ちが良すぎる…)。
そして、CPU、マザーボード、メモリ、CPUクーラー、グラボ以外のパーツは流用します。
グラボ(HIS HD 4670 IceQ 512MB)は2008年に購入したもので、まだ使えそうな気はしますが、今回で引退します。移植するCPU(Intel Core i7-6700)の内蔵グラフィックを使うので、グラボは不要になるからです。
光学ドライブのPlextor PX-320AはIDE接続なのですが、移植するマザーボード(GIGABYTE GA-Z170XP-SLI)にIDEがないので、IDE-SATA変換基盤で接続します。
それと、PCケースのX-jazzは、たしかPower Mac G4 MDD(Mirrored Drive Doors)が2002年8月に発売されて、そのすぐ後に出た製品だと思います。おそらくメーカーはMDDにインスパイアされて似たようなPCケースを作ってみた、という感じではないでしょうか。ちなみに、筆者は当時そのPower Mac G4 MDDを購入しています。さらに、似たような感じのPCケース X-jazzも良いと思って購入したのでした。なので、かなりMacに入れ込んでした時期でしたね。
また、サイドパネルには、エアフローを確保するために直径120㎜くらいの穴を2個所開けています。ドリルで小さな穴を開けてから、金切りバサミで丸く切り取りました。金切りバサミで切ったため、切り口がギザギザしていて危ないので、クリアファイルを切ってカバーを作ってファンフィルターのネジに共締めしています。
ちなみに、後側のCPUクーラーにエアーを送る穴は、少しズレてしまったため、CD-Rが入っていたケースをカットしてダクトを作って取り付けています。
前側の穴には80㎜ファンを取り付けていて、そこからのエアーがケース内部の後方に向かうよう、クリアファイルを切ってガイドを作って取り付けています。
パーツの移植作業
それでは、パーツの移植作業を始めています。
旧パーツを取り外す
まずは、マザーボードやグラボ、イーサネットアダプタ、電源ユニット、ケーブルなど、交換するパーツと作業の邪魔になるパーツを取り外しました。
パーツを移植する
先ほどサーマルグリスを塗り直したCPUとマザーボード、そしてメモリを、
移植しました。また、他のパーツも元に戻しました。さらに、配線の取り回しを少し工夫して、目立たないようにしてみました(ケースを閉じたら、どうせ見えませんが、笑)。
ちなみに、サイドパネル後方の穴のダクトは、CPUクーラーがトップフローのタイプとなって不要になったので、取り外しました。
取り外したパーツたち
このマザーボード(GIGABYTE GA-EP45-UD3LR、2008年)は、配色に時代を感じますね。
一瞬、捨てようかとも思いましたが、後でテスト用に使うかもしれないので、取っておきます。
なんとも不格好ですが、グラボ(HIS HD 4670 IceQ 512MB、2008年)に最初から付いていたファンが壊れてしまったため、汎用の60㎜ファンを結束バンドで取り付けていたのです。
そして、このグラボは、前述のように今回で引退します。でも、一応取っておきます(笑)。
そのままWindows 10が起動 → Windows 11への問題
電源をONにすると、
読み込みが始まって、
特に何もせずに、そのままWindows 10が起動しました。
そして、ここにWindows 11をインストールするのですが、
「PC正常性チェック」を見てみると、CPU(Intel Core i7-6700)がWindows 11の要件を満たしていません。なので、rufusを使ってインストールしていきたいと思います。
rufusを使ってWindows 11をインストール
Windows 11 23H2のISOファイルをダウンロード
まずは、Windows11のISOファイルをダウンロードします。
今回は、いくつかの不具合が報告されている24H2ではなく、安定性を重視して23H2にしました。
UUP dumpのページにアクセスし、「Windows 11」の「23H2」をクリック。
アーキテクチャは「x64」で、「Windows 11, version 23H2 (22631.XXXX) amd64」をクリック。
「言語」は「日本語」のままで、「次へ」をクリック。
「エディション」は「Windows Home」と「Windows Pro」がチェックされているので、そのまま「次へ」をクリック。
「ダウンロード方法」は「ダウンロードしてISOに変換」が選ばれていて、「変換オプション」は「可能な場合は更新プラグラムをISOに統合する」と「更新プラグラムの統合後にクリーンアップを実行する」がチェックされているので、そのまま「ダウンロードパッケージを作成」をクリック。
ZIPファイルがダウンロードされました。これを展開します。
展開したフォルダ内にある「uup_download_windows.cmd」を右クリックして、「管理者として実行」します。
処理が始まって、しばらくすると「Finished」と表示されます。「0」または「q」を押下すると処理ウィンドウが閉じます。
Windows11 23H2のISOファイルが生成されました。
rufusでインストール用USBメモリを作成
rufusのページにアクセスし、少しスクロールして「ダウンロード」の「最新リリース」にある「rufus-4.7.exe」をクリックし、ダウンロードします。
あらかじめ、USBメモリをUSBポートに挿しておきます。
そして、rufusを起動して「選択」をクリックし、先程ダウンロードしたWindows11 23H2のISOファイルを選びます。
すると、「ブートの種類」のところが選択したISOファイルの名称になります。
「イメージオプション」は「標準のWindowsインストール」のままにします。
今回はインストールするSSDがGPTとなる予定なので、「パーティション構成」は「GPT」のままにします。この場合、「ターゲットシステム」は自動的に「UEFI(CSM無効)」になります。

インストールするSSDがMBRの場合は、「パーティション構成」を「MBR」にします。この場合、「ターゲットシステム」は自動的に「BIOS(またはUEFI-CSM)」になります。
その他の項目はデフォルトのままにします。「ボリュームラベル」は、選択したISOファイルによって自動的に入力されているので、やはりそのままにします。
そして、「スタート」をクリック。
「Windwosユーザーエクスペリエンス」のウィンドウが表示されて、上の2つの項目にデフォルトでチェックが入っています。重要なのは一番上の項目で、これによってインストール時の最小システム要件(最小メモリ、TPM、セキュアブート)を回避できるようになります。
そして、そのまま「OK」をクリック。
すると、「無効なUEFIブートローダーが検出されました」というウィンドウが表示されました。おそらくですが、Windows 11のISOファイルが、最新の24H2ではなく、23H2のためではないかと思われます(24H2の場合は、このウィンドウは表示されませんでした)。
そのまま「OK」をクリック。
USBメモリのデータ消去の確認がされるので、「OK」をクリック。
「状態」のところに「ISOファイルをコピー中」と表示されて、
「準備完了」となれば、インストール用USBメモリの作成は完了です。
SSDを「MBR」から「GPT」に変更
今回は Windows 11をWindows 10へ上書きインストールします。現在Windows 10が入っているSSDはMBRなのですが、後々のことも考えて、これをGPTに変更することにしました。
ただし、単純にGPTにしただけでは、Windowsは起動しないみたいです(以前にパーティションマスターを使って試してみたところ、やはり起動できませんでした)。そこで、バックアップソフトのAOMEI Backupper Proを使います。このソフトの「ユニバーサル復元」機能を使えば、パーティション形式を跨ぐ復元が可能となります。
AOMEI Backupper Proをインストール
AOMEI Backupper Proをインストールします。

実は当初、うっかり間違えてAOMEI Backupper Standardをインストールしてしまいました。
そうしてバックアップ作業を進めていき、復元する段階で「ユニバーサル復元」機能が使えないことに気づきまして、AOMEI Backupper Proのインストールからやり直しています。
AOMEI Backupper Proでバックアップ
「バックアップ」の「システムバックアップ」から、
保存先を選んで「開始」をクリック。
しばらく待つと、バックアップが完了します。
ブータブルメディアの作成
バックアップを復元するために、ブータブルメディアを作成します。
「ツール」の「ブータブルメディアの作成」をクリック。
「ブータブルメディアの種類」は「Windows PE」を選択して「次へ」をクリック。
USBポートにUSBメモリを挿入し、「ターゲットデバイスを選択」で「USBブートデバイス」を選択して「次へ」をクリック。
「フォーマットしてもよろしいでしょうか?」では「はい」をクリックして、
しばらくするとブータブルメディアが完成します。
「ディスクの管理」で「GPT」に変更
まず、自作PCからSSDを取り外し、外付けUSB HDDケースに入れて、他のPCに接続します。
「ディスクの管理」を開くと、SSDは「ディスク5」として認識されていました。
そして、右クリックをしてボリュームを削除。
「未割り当て」になったら、右クリックで「GPTディスクに変換」を行います。
確認するには、右クリックをします。そこで「MBRディスクに変換」と表示されれば、GPTになっています。
BIOSの設定を変更
SSDを自作PCに戻し、先程作成したAOMEI Backupper ProのブータブルメディアをUSBポートに挿します。
BIOSを立ち上げたら、「Boot Option #1」で「UEFI:U220P 3.00, Partition 1」(AOMEI Backupper Proのブータブルメディア)に指定します。これで、ブータブルメディアから起動するようになります。
ちなみに、
「Strage Boot Option Control」のところは「Legacy」になっていますが、これはUEFIとLegacy BIOSの両方に対応しているので、そのままでOKです。
AOMEI Backupper Proで復元
AOMEI Backupper Proのブータブルメディアから起動します。
「復元」の「イメージファイルを選択」をクリックして、
先程バックアップしたイメージファイルを選択して「Open」をクリック。
イメージファイルの情報が表示されました。「次へ」をクリック。
復元先(上の画像の「ディスク0」)を選んで「次へ」をクリックし、
「操作概要」の画面で下にある「ユニバーサル復元」にチェックを入れます。また、「SSD 4Kアラインメント」にチェックを入れると、SSDに最適化されます。「開始」をクリックして、
しばらくすると復元が完了します。
BIOSを再度設定・Windows 10が起動
再度BIOSを立ち上げて、「Boot Option #1」で「Windows Boot Manager(P0:SPCC Solid State Disk)」を指定します。
読み込みが始まって、
無事に、GPTディスクからWindows 10が起動しました。
Windows 11を上書きインストール
USBポートにrufusで作成したインストール用USBメモリを挿してウィンドウを開き、そこにある「setup.exe」をダブルクリックします。
Windows 11のセットアップが開始されました。「次へ」をクリック。
「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択して、「次へ」をクリック。
インストールの準備ができました。「インストール」をクリックします。
Windows 11のインストールが始まりました。
Windows 11が起動
インストールが終了して再起動すると、しばらく待たされて、
無事に、上書きされたWindows 11が起動しました。インストールされているソフトや設定などは、以前のままで使えます。
おわりに
今回は、PCパーツの移植は特に問題はありませんでしたが、Windows 11へのアップグレードでは、AOMEI Backupper“Pro”と“Standard”を間違えてインストールしてしまい、復元する段階になってようやく気づくという凡ミスをしてしまいました。
なのですが、実はこの手のミスは結構ありまして、データを保存するメディアを間違えたり、必要なメディアをフォーマットしてしまったりなど、かなり無駄なことをやってますね。でも、それが意外な発見をもたらしてくれたり、次の作業効率化のヒントになったりすることもあります。なので、それにも意味はあったと信じたいです(笑)。