



スティック型の小さなボディに、CPUやメモリなどのパーツを搭載したスティックPC。省スペースで邪魔にならず、持ち運ぶことも容易で、HDMI端子を液晶テレビやディスプレイに接続すれば使えるという、とっても使い勝手の良いPCです。
そこで今回は、スティックPCが気になっている人へ向けて、選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説しつつ、スペックや価格なども比較して、現在市販されている製品の中のおすすめを紹介していきたいと思います。参考にしてくださいね。
ステックPCの選び方
出典:www.amazon.co.jp
前述のように、とても使い勝手の良いスティックPC。ただ、スペック面ではそれほど優れてはいないので、ネットやメールの使用、動画の視聴など比較的ライトな使い方が適しています。
そんなスティックPC購入する際に確認すべき主なポイントを、以下に紹介していきたいと思います。
Windows10は32bitでいいか、それとも64bitにするか
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現在市販されている一般的なPCのOSは、Windows10の64bit版です。ただし、スティックPCの中には32bit版がインストールされているものがあります。
一般的なPCなら64bit版をおすすめしますが、スペックがあまり高くないスティックPCでは64bit版のメリットを活かし切れないため、32bit版でも十分と言えます。もし64bit版が必要なら、スペックが比較的高くて64bit版が入っている製品を選ぶと良いでしょう。
Webやメールなどライトな使用か、画像の多い文書の作成等も行うか
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現在のスティックPCに採用されているCPUは、ほとんどがIntelのAtom(Bay TrailまたはCherry Trail、後者の方が新しい)で、一部製品でCeleron(Apollo Lake)やCore m(Skylake)となっています。
Atomは元々、タブレットなどポータブル端末向けに低消費電力と低価格を目指して開発されたもので、処理能力はだいぶ抑え気味。Celeron(Apollo Lake)は、その後継となるもので、やはり低消費電力が重視されたモデルになります。
処理能力としては、Atom(Bay Trail)→Atom(Cherry Trail)→Celeron(Apollo Lake)→Core m(Skylake)の順に高くなります。
また、CPUのモデルによっては、内蔵グラフックが4K(3840×2160)に対応しているものもあります。
そして、メモリ容量は2GB か4GBのいずれかとなっています(交換・増設不可)。
ですので、前述のようなライトな作業なら処理能力を抑えたCPU & メモリ2GBの製品でも可ですが、画像が多めの文書作成といった作業を行うのなら、処理能力のより高いCPU & メモリ4GBの製品が適しています。
ストレージは、多くの製品が32GB eMMCで、OSを除いた空き容量は20GB弱。これだと、追加のソフトをインストールしたり、写真などのデータを保存したい場合には、ちょっと厳しいかも…。その場合は、64GB eMMCを搭載した製品があるので、そちらを選ぶと良いでしょう。
言葉そのものの意味は「貯蔵、保管、倉庫」です。PC用語としては、データを保存する HDD、SSD、eMMC、SDカード、USBメモリなどを示します。
Wi-Fi速度は11nでいいか、より速い11acにするか
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前世代のスティックPCでは、IEEE802.11nまでの対応でした。しかし、最近のモデルでは、より高速な11acを採用しているものがあるので、スピードを重視するなら後者を選びましょう。
現在、一般に市販されている製品のアンテナ1本あたりのスピードは、11nは約150Mbps、11acは約433Mbpsです。
USBポートのバージョンと数をチェック
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USBポートは、製品によってスピードの遅い2.0にしか対応していないものと、より速い3.0に対応しているものがあります。データの転送速度が必要なら、後者の方が適しています。また、新しい形状のType-Cを採用している製品もあります。
こうしたUSBポートの種類と搭載数は製品によって異なるので、拡張するUSB機器の数や、USBハブを使うかなども踏まえて選択しましょう。
なお、スティックPCにあるmicroUSBポートは給電用で、周辺機器の拡張には使えないので、これを念頭に製品スペックを見る必要があります。
USB Type-Cのコネクタは、従来のType-Aよりも小さくなっています。また、USB Type-Cは上下左右が対照の形状であるため、向きを気にせずに接続できます(Type-Aでは「向きが逆で差し直し」ということがよくありましたが、Type-Cでは解消されています)。
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左がType-A、右がType-C
そして、USB3.1 Type-Cでは、USB PD(USB Power Delivery)に対応し、最大100Wまでの電力を供給することが可能。これにより、たとえばUSB3.1 Type-Cで、PC本体やディスプレイの電源を取ることもできます。
さらに、USB3.1 Type-Cは、オルタネートモード(Alt-Mode、別規格のポートとして動作するモード)に対応し、映像出力用としても使用可能となっています。
USB3.1:Gen1とGen2があり、後者が高速
USB3.1にはGen1とGen2があります。規格上の最大転送速度は、Gen1は5Gbps(USB3.0と同じ)で、Gen2は10Gbpsです。
microSDカードスロットをチェック
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スティックPCのほとんどの製品にmicroSDスロットがあり、少ないストレージ容量をカバーできるようになっています。ただし、中には同スロットを搭載していないものもあるので、この点は要チェックですね。
静音性ならファンレス、安定して利用したいなら冷却ファン付きモデルに
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ファンレスモデルは、静音性に優れています。ただし、負荷がかかり続けると熱によって動きが緩慢になったり、フリーズしてしまうこともあります。
冷却ファンが付いているモデルなら、ファンの音はするものの、排熱性能が高いので、負荷がかった状態でも比較的安定して利用できるでしょう。
スティックPCおすすめランキング
ここからは、おすすめのスティックPC をランキング形式で発表していきたいと思います。価格が安いに越したことはないのですが、使いにくい製品ではあまり良くないので、今回はその点を踏まえた順位にしています。
第1位:Diginnos Stick DG-STK5S
独自デザインのメッシュを採用、Celeron(Gemini Lake)とUSB Type-Cを搭載
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CPUはCeleron N4000(Gemini Lake)、メモリ4GB、ストレージは64GB eMMC、Wi-Fiは11ac、USB Type-C搭載、4K(3840×2160)の映像出力に対応など、なかなかの高性能モデル。
ファンレスモデルですが、ボディが金属製で一部がメッシュになっているので、放熱性に優れています。メッシュの穴は、日本古来のデザイン「毘沙門亀甲」がベース。これは見た目が美しいだけでなく、従来の丸穴と比較して通気面積が155%に広がり、強度と異物の侵入防止性を維持したまま、冷却効率が向上しているとのことです。
ただし、上記のような性能もあって、価格はやや高めですね。
ちなみに、OSがWindows 10 Home(S モード)の安価なモデルもあります。
Diginnos Stick DG-STK5S[スティック型パソコン Windows 10 Home(S モード)]
27,280円(税込)
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これは、Windows 10 HomeやWindows 10 Proから次の機能を制限したモードです。これにより、パフォーマンスの向上とより高いセキュリティが期待できると言えます。
●Windowsストア以外からのアプリのインストール
●Edge以外の既定ブラウザ
●Bing以外の検索プロバイダー
●Active Directoryへの参加
なお、「Sモード」は無料で解除が可能で、容易に通常のWindows 10 HomeやWindows 10 Proにすることができます。ただし、一旦解除したら、再び「Sモード」に戻すことはできません。
第2位:Compute Stick M1S
全体的にスキのない高いスペック
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OSは64bit、CPUはCherry Trail、メモリは4GB、ストレージは64GB、Wi-Fiは11ac対応、USBポートは3.0に対応という、スペックが全体的に高いレベルでまとまった製品。これを選んでおけば、性能的に不満を抱くことはないでしょう。
強いて言うなら、メーカーがよく分からないところが、不安材料かもしれません。
第3位:Diginnos Stick DG-STK4C
64bit OSで快適動作、大口径の冷却ファンで効率的な排熱
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メーカーサイトのキャッチコピーに「普段のパソコンと変わらない快適動作」とあるように、CPUはAtomのCherry Trailの大きな型番、メモリは4GBを搭載して、一般的なPCにインストールされている64bitのOSが、より快適に動作するようになっています。
また、大口径の冷却ファンで内部の熱を効率よく排出し、長時間の安定動作を実現。さらに、4K(3840×2160)の映像出力に対応し、2つのUSB3.0ポートによる高い拡張性や、外付けのWi-Fiアンテナで通信の安定性も確保しているなど、使い勝手にとても配慮された製品になっています。
第4位:Intel Compute Stick BOXSTK2M3W64CC
43,813円(税込)
Core m3搭載で高い処理能力、USB3.0ポートは×3
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CPUはCore m3でメモリは4GB、ストレージは64GB eMMC、Wi-Fiは11n、USB3.0ポートを3つ搭載、4K(3840×2160)の映像出力に対応という、非常に高いスペックを誇る製品。USB3.0ポートは本体に1つと、ACアダプターに2つという変則的ですがおもしろいアイデアによって、計3つを搭載しています。
ただし、高い性能のために価格もかなり高くなっていますね…。スティックPCの使い勝手を享受し、かつメインPCに近い使い方をしたい(スペックに妥協したくない)人なら、この製品を選んでも良いかもしれません。
第5位:ASUS VivoStick TS10 TS10-B078D
23,973円(税込)
全体的に高いスペック、スタイリッシュなデザイン、ただしmicroSDカードスロットはなし
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CPUはAtomのCherry Trailで、メモリは4GB、ストレージは64GB eMMC、USBポートは3.0に対応、Wi-Fiは11acという、比較的性能の高い製品。また冷却ファンが付いているので、安定した動作が期待できます。
デザイン的には、全体の滑らかなシルエットと両端部のラインが、スタイリッシュな印象ですね。
ただし、microSDカードスロットがない点に注意が必要。他のスティックPCはほとんどに同スロットがあり、少ないストレージ容量をカバーできるようになっているのですが、この製品ではそれができません。そして、価格はやや高めですね。
第6位:VANGOOD VG-MN9
高性能な割に低価格で、コスパに優れた製品
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前出の第5位「ASUS VivoStick TS10 TS10-B078D」と基本スペックは同じで、CPUはAtomのCherry Trail、メモリ4GB、64GB eMMCという性能の比較的高い製品。そして、こちらはmicroSDカードスロットが搭載されているにも関わらず、価格は4,000円以上も安くなっています。コスパはかなり良いですね。
ただし、OSについては「Windows 10」としかなく、homeかどうかも、32bitか64bitかについても表記がありません(価格からしてhomeだとは思われますが…)。メーカーも日本ではほぼ無名なので、こういうところは少し心配が残ります。
第7位:Intel Compute Stick BOXSTK1AW32SC
16,399円(税込)
比較的高いスペックで、妥当な価格設定
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CPUはAtomのCherry Trailで、USBポートは3.0に対応、Wi-Fiは11acという、比較的性能の高い製品。また冷却ファンが付いているので、安定した動作が期待できます。
メモリやストレージのパーツ構成は標準的なのですが、この価格なら妥当なところではないでしょうか。
第8位:RaiFu W5 Pro
11,971円(税込)
最低限のスペックで、価格が抑えられた製品
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CPUはAtom x5-Z8350、メモリが2GB、ストレージが32GB eMMCという、スペックが最低限のモデル。その他にも性能面で特筆すべき点はないのですが、その分、価格が抑えられています。
なので、ライトな使い方に限定する場合や、「とりあえず試してみたい」いった場合に適した製品といえるでしょう。
第9位:I-O DATA CLPC-32WE1
サイネージアプリ「時間割看板2」を搭載、電子看板用のPCに最適
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搭載されているOSはLTSC版(Long Term Servicing Channel:長期サービスチャネル)です。これは、アップデートはセキュリティパッチやバグフィックスのみで、アップデートによって新機能が追加されることはなく、特定用途でのみ使用することを想定したモデル。安定した環境で、長期間の運用が可能となります。
また、サイネージアプリ「時間割看板2」がプリインストールされています。なので、普段使いと言うより、公共施設や店頭でのデジタルサイネージ(電子看板)に適した製品と言えます。
そして、4K(3840×2160)の映像出力に対応しているので、対応ディスプレイと組み合わせれば、高精細な映像を表示することができます。
ただし、こうした用途のモデルだけあって、価格はやや高めとなっています。
スティックPCにおすすめのワイヤレスキーボードとマウス
スティックPCは基本的に本体のみで販売されていて、キーボードとマウスは別に用意する必要があります。そんなスティックPCにおすすめのワイヤレスキーボードとマウスを、以下の記事で紹介していますので、見てみてくださいね。
おわりに
今回紹介した、スティックPCのおすすめランキングはいかがでしたでしょうか?
出たばかりの頃の製品はスペック的にやや不安な部分があったのですが、世代が新しくなって性能がアップし、より快適に使えて、しかも価格がこなれてきています。スティックPCに興味を持っている人は、これを機に是非購入を検討してみてくださいね。