クリップチューナー D’Addario PW-CT-12をレビュー

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D'Addario PW-CT-12

 D’Addarioのクリップチューナー、PW-CT-12を購入しました。今回は、これをレビューしてみたいと思います。また、筆者がこれまでに使ってきたクリップチューナーの紹介と、それらとの比較もしてみます。

クリップチューナー D’Addario PW-CT-12をレビュー

※価格は2025年11月1日時点のものであり、変更されている場合があります。

PW-CT-12の主な特徴


 インジケーターは、縦横の切り替え可能です。



 表示はカラーで、音が大きく外れているときにはレッドが発光し、近くなるとイエロー、音が合うとブルーになります。



 キャリブレーションも可能です(410Hz~480Hz)。



 クリップ部は、スプリングなどはなく、クリップそのものが板バネのようになっていて、爪のストッパーで留まる仕組みになっています。


ヘッドの後ろに装着 前から見たところ
ヘッドの後ろに装着 後ろから見たところ
 ミニマムデザインで、ヘッドの後ろに装着すると前からはほとんど目立ちません。



 強いて良くない点をあげるとすれば、ディスプレイの可動範囲が狭いことくらい。回転のみで、その他の角度への調節はできません。

実際にチューニングしてみた感想


 ディスプレイとインジケーターはとても見やすくて、反応と精度も良いです。

 また、前述のように、ディスプレイの可動範囲が狭く、回転しかできませんが、ギターヘッドを傾ければ十分に見えるので、さほど問題にはなりませんでした。



 いちばんよく使う電源ボタンだけ大きくて凸になっているので、見なくても押しやすいです。これなら他のボタン(キャリブレーション、インジケーターの回転)を間違えて押してしまうことは、ほぼないかと思います。

 総合的に、かなりチューニングがしやすい良い製品だと思います。

吊り下げ式スタンドとの相性問題が発生

吊り下げ式のギタースタンドと干渉
 PW-CT-12をヘッドの根元に付けた場合、筆者が愛用している吊り下げ式のギタースタンドと干渉してしまいます(上の写真では、ギターを手で持って浮かせている状態)。チューニングのしやすさからすると、取り付け位置はやはりヘッドの根元なので、悩ましいところ…。

 解決策は、チューニングするときだけPW-CT-12をヘッドの根元に付けて、チューニングできたらすぐに取り外す、ということになりました。今までも、ギターの塗装に気を遣ってそうしてきたので、特に問題はないです。

ヘッドにキズがついてしまった…(うっかりミスのため)

ヘッドにキズ
 上で「ギターの塗装に気を遣って」と書いたくせに、ヘッドにキズを付けてしましました。一度、PW-CT-12をヘッドの根元に付けたまま、うっかり吊り下げ式のギタースタンドに掛けてしまったことがあったので、そのときに付いたのだと思います。かなりショック…。

 今後は、チューニングが終わったらすぐに取り外すようにします。

電池のフタが開けにくい


 使っていくうちに電池交換をすることになるので、フタを開けてみることに。なのですが、これがけっこう固くてむずかしいです。初めは両側から指で挟んで引っ張ってみましたが、それだと滑って上手くいかなかったので、片側の隙間に爪を引っ掛けて引っ張ったら外すことができました。

これまでに使ってきたクリップチューナーとの比較

これまでに使ってきたクリップチューナー
 筆者がこれまでに使ってきたクリップチューナーは、左からKORG AW-1、KORG AW-2G、JOYO JT-306、そして今回購入したD’Addario PW-CT-12です。

KORG AW-1

KORG AW-1


 発売は2004年で、筆者は発売して間もなくして購入したと思います。ギター用のクリップだけでなく、管楽器用のクリップも付属しています。購入当時、楽器店の売り場で見つけて、「クリップ式のチューナーなんて出たんだ。こんなに小さいし、かなり良いじゃないか!」と感心したのを覚えています。

 ちなみに、ギター用クリップの首のところのテープと針金は、落として折れてしまったのを固定するためです(涙)。

 性能的には、反応が速く精度も高いので、かなり優秀な製品だと思います。

 ただし、バックライト機能がないのが大きな欠点でした。部屋の中で使う分には問題ないのですが、ライブハウスのステージでは暗くて見にくいので、チューニングする度に「少し明るくしてください」とPAさんに言わなければならないのが地味にストレスでした。

 その後、前述のように落としてクリップの首のところが折れてしまったのをキッカケに、使わなくなりました。そして、今回の撮影のためにテープと針金で固定して、新しい電池を入れて久しぶりに電源を入れています。

KORG AW-2G

KORG AW-2G


 クリップの首が折れてしまったKORG AW-1の代わりとして、2011年頃に購入したのがこのKORG AW-2Gです。念願のバックライト機能が付き、インジケーターはより見やすくなりました。ディスプレイの可動範囲も広くなって、取り付け位置の自由度が高くなっています。

 ただ、しばらく使っていると関節部分が弱くなって、ディスプレイが垂れ下がってしまうという問題が発生。そのため、針金で補強しています。

 また、白くて大きいので、ギターのヘッドに取り付けると「少し目立ちすぎるかも…」とは思っていましたね。それでも、長らく使い続けていました。

JOYO JT-306

JOYO JT-306
 「やっぱり、小さくて目立たないクリップチューナーが欲しい」ということで2025年10月に購入したのが、こちらのJOYO JT-306。AliExpressで895円という激安品です。



 しかし、これは失敗でした。この個体が不良品なのかもしれませんが、クリップ部分がとにかく固くてなかなか開かない! 最初は手では無理だったので、隙間にマイナスドライバーを突っ込んでなんとかこじ開けました。

 また、反応がイマイチで、弦を弾いてからディスプレイに表示されるまでに一瞬のタイムラグがあるときがあります。そのため、チューニングにけっこうな時間がかかってしまいます(この後に、今回紹介した全てのチューナーの比較動画があります)。



 さらに、操作ボタンが1つしかなく、長押しで電源ON/OFF、通常押しでキャリブレーション(430Hz~450Hzで一方向のみに変化)となるのですが、これが使いにくいです。この仕様だと、電源OFFにしようとしたときに、誤ってキャリブレーションする状態になってしまうことがあり、元の440MHzに戻すのにボタンを何度も押さなくてはなりません。

 以上のことから、このチューナーを使うのはやめました。クリップ部分が固いということで返品しようかとも考えましたが、AliExpressなので中国に送り返すのも手間ですし、今回の記事のネタになるということで、手元に残しておくこととなりました。

 こうして、冒頭で紹介したD’Addario PW-CT-12を購入するに至ったというわけです。

D’Addario PW-CT-12と比較してみた

 
 これまでに紹介したKORG AW-1、KORG AW-2G、JOYO JT-306、D’Addario PW-CT-12を一度に取り付けてチューニングしてみました(上の動画でも、この順番で取り付けています)。

 KORG AW-1、KORG AW-2G、D’Addario PW-CT-12は反応が良いですが、やはりJOYO JT-306だけ少し反応が遅いです。

 そして、衝撃の事実が判明! なんと、KORG AW-1とKORG AW-2Gは、ディスプレイが大きいので見やすいのです。

 また、最も反応と精度が良いのは、最も古い製品であるKORG AW-1でした。

 さらに、最も取り付け/取り外しがしやすいのは、クリップが大きくて掴みやすいKORG AW-2Gでした。

 こうなってくると、どれを使ったらいいのか迷ってきてしまう。せっかくD’Addario PW-CT-12を購入したのに!

おわりに

 「小さくて目立たないクリップチューナーが欲しい」ということで購入したD’Addario PW-CT-12ですが、それにより手元にあったKORG AW-1とKORG AW-2Gの良さに改めて気づくという、なんとも皮肉な結果となってしまいました。

 見やすさ、反応と精度、取り付け/取り外しのしやすさからすると、結局は長らく使ってきたKORG AW-2Gが良いということになるのですが、白くて大きくて目立ちすぎるのが難点です。だから、D’Addario PW-CT-12を購入したのですが、やはりKORG AW-2Gは捨て難い。という堂々巡りに陥ってしまったので、これは引き続き悩みたいと思います。

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