CPUを冷却し、熱暴走を防ぐとともに、CPUの寿命を延ばしてくれるCPUクーラー。そして、高性能なPCを組む場合には、やはりCPUクーラーも高性能なものにしたいですよね。
というわけで今回は、CPUクーラーの基本的な事柄などを解説したうえで、高性能なおすすめCPUクーラーを紹介したいと思います。
ハイパーCPUクーラーの選び方
それでは早速、高性能なハイパーCPUクーラーの選び方を見ていきます。
サイドフローのデュアルタワー・デュアルファンが高性能
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CPUクーラーの基本的な構造は、CPUから放熱フィンに伝わった熱を冷却ファンの風で冷やす、というものです。なので、放熱フィンの表面積が大きいほど、また冷却ファンの生み出す風が多いほど、高性能なCPUクーラーということになります。
そして、放熱フィンの表面積が大きくしたのがデュアルタワー(放熱フィンタワーが2つ)で、冷却ファンが発生させる風を多くしたのがデュアルファン(2つの冷却ファンを搭載)になります。これは、CPUの上の放熱フィンタワーを、横からの風で冷却する(マザーボードに対してファンが直角の)サイドフローの製品で実現できる構造です。
ちなみに、サイドフローには、「ケース内の『フロントファン(吸気)→リアファン(排気)』という基本的なエアフローを乱すことなく冷却できる」、「マザーボードを覆わないので、メンテナンス性が高い」というメリットもあります。

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サイドフローの他に、マザーボードに対してファンが水平の「トップフロー」のCPUクーラーもあります。
こちらは、「CPUだけでなく、マザーボード上のチップセットやメモリ、グラフィックボードなども冷却できる」、「高さの低い製品もあり、スリムPCケースにも取り付けられる」というメリットがあります。
ただし、「ケース内の『フロントファン(吸気)→リアファン(排気)』という基本的なエアフローを乱してしまう」、「マザーボードを覆ってしまい、メンテナンス性が低くなる」というデメリットがあります。
使用しているマザーボードのソケットを確認
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多くのCPUクーラーは、複数のCPUソケットで使用できるマルチソケット対応になっていますが、製品によってどれに対応するかが違っていますし、非対応のソケットもあります。ですので、使用しているマザーボードのCPUソケットを確認して、それに合う製品を選びましょう。
CPUソケットが「LGA1851」の場合は、CPUクーラー装着用の穴の位置が「LGA1700」と同じなので、「LGA1700」用のCPUクーラーが装着可能です。
固定はバックプレート式が◎
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CPUの固定方式のひとつに、バックプレート式があります。これは、取り付けに工具が必要となりますが、マザーボード裏面からプレートで支えるため大型で重いCPUクーラーも確実に固定でき、マザーボードが反りにくいというメリットがあります。高性能なCPUクーラーでは、このバックプレート式を採用しているものがほんどです。
ただし、極々稀にですが、バックプレートがマザーボード背面の周辺部品と干渉する可能性がある、というデメリットもあります。

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「バックプレート式」の他に、プッシュピン式(上の写真)、フック式(下の写真)もあります。
プッシュピン式とフック式は、工具が不要で着脱が可能。しかし、ピンやフックを引っ掛けるツメが破損しやすく、取り付けの圧力でマザーボードが反りやすいというデメリットがあります。
その他に、シンプルにネジによって固定する製品もあります。
ヒートパイプを採用したものは冷却効率が良い
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上の写真のパイプが「ヒートパイプ」で、中には作動液(揮発性の液体)が入っています。作動液はCPUを冷却して、同時に温められて気化し、放熱フィン & 冷却ファンのある方に送られて、そこで冷却されて液化し、再びCPUのところに戻る、というように循環します。こうすることで、CPUの熱を大型の放熱フィン全体に伝えて、効率良く冷却できます。
そして、高性能なCPUクーラーのほとんどがヒートパイプを採用しています。
PCケースに収まる高さの製品にする
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前述のように、サイドフローはマザーボードに対してファンが直角に位置しているため、それなりの高さがあります。そして、高性能なCPUクーラーは放熱フィンタワーや大型の冷却ファンを搭載しているために、結構な高さが出てしまいます。そのため、スリムPCケースへの取り付けはほぼ不可能で、ミニタワー/ミドルタワーPCケースでも、幅が狭いものは取り付けできない場合があります。
なので、使用するPCケースが対応しているCPUクーラーの高さを確認したうえで、それの収まる高性能CPUクーラーを導入するようにしましょう。
ファンの風量、回転数、ノイズレベルをチェック
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CPUに付属しているファンの性能について、以下の点をチェックしましょう。
そして、ファンは直径と厚みが大きければ、同じCFMでもrpmを抑えることができて、dB(A)が小さくなります。
製品によっては「流体軸受」のファンを採用しているものもあります。流体軸受は、モーターの回転軸を流体(油や空気など)によって受ける方式で、摩擦が少なく、回転がより滑らかになります。これにより、耐久性と静音性が向上するので、この点も要チェックです。
【デュアルファン・デュアルタワー】ハイパーCPUクーラー おすすめランキング
ここからは、デュアルファン・デュアルタワー搭載のハイパーCPUクーラーおすすめ製品をランキング形式で紹介していきたいと思います。
ハイパーCPUクーラーは全体的に価格が高めになりますが、中にはお手頃のものもあります。なので、今回は価格順に紹介していきます。
第1位:SCYTHE MUGEN6 BLACK EDITION
【高さ154.5㎜】表面積重視の大型フィン、新型ファン採用、ハイエンドグリスが付属
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高さはH154.5㎜で、放熱フィンタワーを後方にずらしたオフセットデザインを採用した製品です。放熱フィンは1基ですがかなりの大型で、剛性と熱伝導率を高める0.4㎜厚・奥行き80㎜というスペックとなっています。
採用している冷却ファンは新型の「WONDER TORNADO 120 PWM」で、新設計したフレームにより、パフォーマンスが向上しています。また、ハイエンドグリス「Thermal Elixir3 1g」が付属します。
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第2位:ID-COOLING FROZN A620 PRO SE
【高さ157㎜】マイクロウェーブフィンで優れた冷却効率、ハイドロリックベアリング・独自形状の大型ブレードを採用、ブラックアウトでシックなデザイン
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高さはH157㎜という製品です。放熱フィンには波状の「マイクロウェーブフィン」を採用し、優れた冷却効率を実現してくれます。
そして、120㎜の冷却ファンには、高品質なハイドロリックベアリング、低ノイズ・高風量を実現する独自形状の大型ブレード(5枚)が採用されています。デザインは、全体がブラックアウトとなっていて、落ち着いた雰囲気のパーツ構成に馴染みそうです。
第3位:Thermalright Royal Knight 120 SE
【高さ155㎜】オフセットデザインとスリムファンでメモリ干渉を防ぐ、S-FSBベアリングファン、
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高さはH155㎜という製品です。厚みの異なる120㎜ファンが2基付属していて(25㎜厚と15㎜厚)、薄い方をメモリ側に設置します。これとオフセットデザインにより、メモリへの干渉を防ぐ設計となっています。
2基のファンには、S-FSB(密閉型流体動圧軸受)ベアリングが採用されていて、低ノイズを実現しています。
第4位:サイズ FUMA3
【高さ154㎜】オフセットデザインを採用、バックプレートを金属製、2つの冷却ファンは2重反転方式・防振ラバー
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高さは154㎜で、放熱フィンタワーを後方にずらしたオフセットデザインを採用した製品です。そのうえで放熱フィンにカットを施し、マザーボード上のパーツと干渉しにくくなっています。バックプレートを金属製なので(他の多くは樹脂製)、強度が高いです。
付属の120㎜ファン(KAZE FLEX II 120)はクーラー搭載用に特化した高パフォーマンスの製品で、振動を吸収する防振ラバーが装着されています。また、回転はフロントが反時計回り、ミドルが時計回りとなる「2重反転方式」を採用し、気流の乱れの低減、風量・静圧特性の向上が図られています。
第5位:Thermalright Phantom Spirit 120 EVO
【高さ157㎜】7本のヒートパイプ、非対称の放熱フィンで効果的に冷却、冷却ファンにS-FSBベアリングを採用、全体のつや消しブラックにファンのARGB LEDが映える
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高さはH157㎜という製品。ヒートパイプは7本と一般的な製品(6本)より多く、また放熱フィンは非対称の構造で、冷却ファンからより多くのエアーが通り抜けることを可能としています。120㎜の冷却ファンにはS-FSB(密閉型流体動圧軸受)ベアリングを採用し、寿命は最大20,000時間です。
そして、全体的なカラーがつや消しブラックとなっていて、そこにファンの控えめなARGB LEDが効果的に映えるデザインとなっています。
第6位:Thermalright PS120SE
【高さ154㎜】7本のヒートパイプ、非対称のフィン構造で冷却効果を増大、S-FSBベアリング冷却ファン
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高さはH154㎜という製品で、ヒートパイプは7本と一般的な製品(6本)より多くなっています。放熱フィンは非対称の構造として、冷却ファンからの風がより効果的に当たるようになっているので、効果的な冷却が期待できます。
そして、120㎜の冷却ファンには、S-FSB(密閉型流体動圧軸受)ベアリングを採用し、寿命は最大20,000時間となっています。
第7位:PCCOOLER RZ620 BK
【高さ158㎜】冷却ファンに振動減衰パッド、プレミアムオールブラック光沢でコーティング、メタリック・トップ・プロテクションカバー
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高さ158㎜の製品で、放熱フィンには流線型のデザインを取り入れ、空気力学に則って効率的な放熱を実現。120㎜の冷却ファンに振動減衰パッドを採用することで、冷却性能(265W TDPまで)と静音性のバランスを構築しています。
そして、全体をプレミアムオールブラック光沢でコーティング。放熱フィンタワーの上部には、繊細なスプレー仕上げを施したアルミニウムのメタリック・トップ・プロテクションカバーを装着し、ブラックスタイルのPCには最適な選択肢のひとつとなり得るでしょう
第8位:Cooler Master MasterAir MA824 Stealth
【高さ165.6㎜】135㎜ファンと120㎜ファン、ヒートパイプは8本、ステルスブラックのアルミトップカバーなど全体を黒で統一
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高さ165.6㎜の製品です。空冷クーラーのフラッグシップモデルで、冷却ファンは異なるサイズのものを2基搭載し(フロントに120㎜、リアに135㎜)、非常に高い冷却性能を実現しています。また、ベース部分にサーマルグリス塗布済みなので、セットアップをすぐに実行することができます。
そして、全てが黒一色に統一された「Stealth」シリーズに位置づけられていて、ステルスブラックのアルミトップカバーをはじめ、全体をブラックで統一した洗練されたデザインとなっています。
第9位:CPS RZ820 BLACK
000円(税込)
【高さ165㎜】径の異なるヒートパイプが計8本、口径の異なる2基のファン、全てのフィンスタックを溶接、ウルトラハイエンド
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高さはH165㎜という製品です。径の異なるヒートパイプが計8本(6㎜径×4本、8㎜径×4本)、口径の異なる2基のファン(150×120×25㎜、140×140×30㎜)、そして全てのフィンスタックを溶接することで、最大限の冷却性能を実現したウルトラハイエンドのモデルとなっています。
外観的には、航空宇宙グレードのアルミニウム合金を一体成型で加工し、表面はスプレー仕上げで、重厚感ある雰囲気を醸しています。また、トップカバーのロゴと角の部分がARGBライティングによりさりげなく発光する仕様となっています。
おわりに
今回は、高性能なハイパーCPUクーラーを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
CPU(Central Processing Unit)は日本語で「中央処理装置」で、PCのまさに中心的なパーツであり、それを冷却するCPUクーラーの役割も重要です。上記を参考にして、CPUクーラーを新規導入または交換し、CPUを効率良く冷却して、PC作業の処理の効率化も図ってくださいね。