CPUを冷却し、熱暴走を防ぐとともに、CPUの寿命を延ばしてくれるCPUクーラー。そして、高性能なPCを組む場合には、やはりCPUクーラーも高性能なものにしたいですよね。
というわけで今回は、CPUクーラーの基本的な事柄などを解説したうえで、高性能なおすすめCPUクーラーを紹介したいと思います。
ハイパーCPUクーラーの選び方
それでは早速、高性能なハイパーCPUクーラーの選び方を見ていきます。
サイドフローのデュアルタワー・デュアルファンが高性能
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CPUクーラーの基本的な構造は、CPUから放熱フィンに伝わった熱を冷却ファンの風で冷やす、というものです。なので、放熱フィンの表面積が大きいほど、また冷却ファンの生み出す風が多いほど、高性能なCPUクーラーということになります。
そして、放熱フィンの表面積が大きくしたのがデュアルタワー(放熱フィンタワーが2つ)で、冷却ファンが発生させる風を多くしたのがデュアルファン(2つの冷却ファンを搭載)になります。これは、CPUの上の放熱フィンタワーを、横からの風で冷却する(マザーボードに対してファンが直角の)サイドフローの製品で実現できる構造です。
ちなみに、サイドフローには、「ケース内の『フロントファン(吸気)→リアファン(排気)』という基本的なエアフローを乱すことなく冷却できる」、「マザーボードを覆わないので、メンテナンス性が高い」というメリットもあります。
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サイドフローの他に、マザーボードに対してファンが水平の「トップフロー」のCPUクーラーもあります。
こちらは、「CPUだけでなく、マザーボード上のチップセットやメモリ、グラフィックボードなども冷却できる」、「高さの低い製品もあり、スリムPCケースにも取り付けられる」というメリットがあります。
ただし、「ケース内の『フロントファン(吸気)→リアファン(排気)』という基本的なエアフローを乱してしまう」、「マザーボードを覆ってしまい、メンテナンス性が低くなる」というデメリットがあります。
使用しているマザーボードのソケットを確認
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多くのCPUクーラーは、複数のCPUソケットで使用できるマルチソケット対応になっていますが、製品によってどれに対応するかが違っていますし、非対応のソケットもあります。ですので、使用しているマザーボードのCPUソケットを確認して、それに合う製品を選びましょう。
固定はバックプレート式が◎
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CPUの固定方式のひとつに、バックプレート式があります。これは、取り付けに工具が必要となりますが、マザーボード裏面からプレートで支えるため大型で重いCPUクーラーも確実に固定でき、マザーボードが反りにくいというメリットがあります。高性能なCPUクーラーでは、このバックプレート式を採用しているものがほんどです。
ただし、バックプレートがマザーボード背面の周辺部品と干渉する可能性がある、というデメリットともあります。
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「バックプレート式」の他に、プッシュピン式(上の写真)、フック式(下の写真)もあります。
プッシュピン式とフック式は、工具が不要で着脱が可能。しかし、ピンやフックを引っ掛けるツメが破損しやすく、取り付けの圧力でマザーボードが反りやすいというデメリットがあります。
その他に、シンプルにネジによって固定する製品もあります。
ヒートパイプを採用したものは冷却効率が良い
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上の写真のパイプが「ヒートパイプ」で、中には作動液(揮発性の液体)が入っています。作動液はCPUを冷却して、同時に温められて気化し、放熱フィン & 冷却ファンのある方に送られて、そこで冷却されて液化し、再びCPUのところに戻る、というように循環します。こうすることで、CPUの熱を大型の放熱フィン全体に伝えて、効率良く冷却できます。
そして、高性能なCPUクーラーのほとんどがヒートパイプを採用しています。
PCケースに収まる高さの製品にする
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前述のように、サイドフローはマザーボードに対してファンが直角に位置しているため、それなりの高さがあります。そして、高性能なCPUクーラーは放熱フィンタワーや大型の冷却ファンを搭載しているために、結構な高さが出てしまいます。そのため、スリムPCケースへの取り付けはほぼ不可能で、ミニタワー/ミドルタワーPCケースでも、幅が狭いものは取り付けできない場合があります。
なので、使用するPCケースが対応しているCPUクーラーの高さを確認したうえで、それの収まる高性能CPUクーラーを導入するようにしましょう。
ファンの風量、回転数、ノイズレベルをチェック
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CPUに付属しているファンの性能について、以下の点をチェックしましょう。
そして、ファンは直径と厚みが大きければ、同じCFMでもrpmを抑えることができて、dB(A)が小さくなります。
製品によっては「流体軸受」のファンを採用しているものもあります。流体軸受は、モーターの回転軸を流体(油や空気など)によって受ける方式で、摩擦が少なく、回転がより滑らかになります。これにより、耐久性と静音性が向上するので、この点も要チェックです。
【デュアルファン・デュアルタワー】ハイパーCPUクーラー おすすめランキング
ここからは、デュアルファン・デュアルタワー搭載のハイパーCPUクーラーおすすめ製品をランキング形式で紹介していきたいと思います。
ハイパーCPUクーラーは全体的に価格が高めになりますが、中にはお手頃のものもあります。なので、今回は価格順に紹介していきます。
第1位:Thermalright PS120SE
【高さ154㎜】非対称のフィン構造で冷却効果を増大、S-FSB(密閉型流体動圧軸受)ベアリング冷却ファン
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高さはH154㎜という製品です。放熱フィンは非対称の構造として、冷却ファンからの風がより効果的に当たるようになっています。
そして、120㎜の冷却ファンには、S-FSB(密閉型流体動圧軸受)ベアリングを採用し、寿命は最大20,000時間となっています。
第2位:Novonest D96K
【高さ132㎜】92㎜ファンで高さを抑える、液圧ベアリングを採用した冷却ファン、ヒートパイプはダイレクトコンタクト方式
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デュアルファンの製品では珍しく、92㎜の冷却ファンを採用した製品です。これにより高さを132㎜にまで抑えて、小さめのPCケースにも対応できるようになっています。そして、冷却ファンは液圧ベアリング仕様で、静音性と長寿命を実現しています。
また、ヒートパイプはCPUと直接接触するダイレクトコンタクト方式となっていて、CPUの熱を効率的に放熱フィンに送って冷却効率を高めています。
第3位:PCCOOLER G6-BK
【高さ156㎜】大型の130㎜冷却ファンを搭載(流体軸受)、ヒートパイプはダイレクトコンタクト方式
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他の製品より大型の130㎜冷却ファンを搭載した製品で、大風量による高い冷却効果が期待できます。それでも、冷却ファンを放熱フィンタワーの中心から少し下に設置することで、高さは他の製品と同程度の156㎜となっています。
ヒートパイプはダイレクトコンタクト方式で、CPUからの熱を効率的に吸収し、放熱フィンタワーへと送ってくれます。
第4位:サイズ FUMA3
【高さ154㎜】オフセットデザインを採用、バックプレートを金属製、2つの冷却ファンは2重反転方式・防振ラバー
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高さは154㎜で、放熱フィンタワーを後方にずらしたオフセットデザインを採用した製品です。そのうえで放熱フィンにカットを施し、マザーボード上のパーツと干渉しにくくなっています。バックプレートを金属製なので(他の多くは樹脂製)、強度が高いです。
付属の120㎜ファン(KAZE FLEX II 120)はクーラー搭載用に特化した高パフォーマンスの製品で、振動を吸収する防振ラバーが装着されています。また、回転はフロントが反時計回り、ミドルが時計回りとなる「2重反転方式」を採用し、気流の乱れの低減、風量・静圧特性の向上が図られています。
第5位:オウルテック OWL-CPUC03
【高さ163㎜】鉄製のバックプレート、冷却ファンは流体軸受
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高さ163㎜という製品で、比較的背の高いCPUクーラーになります。なので、取り付けるPCケースの内部寸法を確認しましょう。バックプレートは鉄製で、マザーボードにしっかり固定することができ、高い耐久性と安定性を実現しています。
120㎜の冷却ファンは流体軸受を採用し、冷却性能に優れ、長期間使用でも安定した動作を実現しています。
第6位:DeepCool AK620 ZERO DARK
【高さ160㎜】流体軸受の120㎜冷却ファン、TDP260Wまで対応した高冷却モデル、ブラックスタイルのPCに最適
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高さ160㎜で、放熱フィンには「チェスボード」デザインを取り入れ、流体軸受の120㎜冷却ファンを搭載した製品です。メーカーによると、TDP260Wまで対応した高冷却モデルとのこと。
そして、放熱フィンやヒートパイプ、冷却ファンなど全体的にブラックを基調としたカラーで、放熱フィンタワーの上部にある装飾などが洗練された印象です。ブラックスタイルのPCを構築する場合には、イメージの統一に貢献してくれそうです。
第7位:DeepCool Assassin III
【高さ165㎜】気流を増幅する2層ファンブレード(特許取得済み)、新型「焼結ヒートパイプ」を採用
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140㎜という大型の冷却ファンを搭載した製品で、そのため高さは165㎜も。なので、使用するPCケースに装着できるか要確認です。冷却ファンには、気流を最大2.5㎡/分まで増幅する2層ファンブレード(特許取得済み)が備えられており、低ノイズ化にも貢献しています。
銅製のヒートパイプは7本で、新型の「焼結ヒートパイプ」を採用することで内部表面積を大幅に増やし、伝熱効率をアップさせています。
第8位:PCCOOLER RZ620 BK
【高さ158㎜】冷却ファンに振動減衰パッド、プレミアムオールブラック光沢でコーティング、メタリック・トップ・プロテクションカバー
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高さ158㎜の製品で、放熱フィンには流線型のデザインを取り入れ、空気力学に則って効率的な放熱を実現。120㎜の冷却ファンに振動減衰パッドを採用することで、冷却性能(265W TDPまで)と静音性のバランスを構築しています。
そして、全体をプレミアムオールブラック光沢でコーティング。放熱フィンタワーの上部には、繊細なスプレー仕上げを施したアルミニウムのメタリック・トップ・プロテクションカバーを装着し、ブラックスタイルのPCには最適な選択肢のひとつとなり得るでしょう
第9位:CoolerMaster MasterAir MA624 Stealth
【高さ160㎜】140㎜ファン2基+交換用120㎜ファン付属、取付けやすい独自構造、ステルスブラックのアルミトップカバーなど全体を黒で統一
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高さ160㎜の製品で、冷却ファンが140㎜のものが2基装着されていて、さらに交換用の120㎜のものが1基付属します。120㎜のものは、標準の140㎜ファンではメモリと干渉する場合に、クリアランスを確保するために使用します。なかなかの親切設計ですね。
そして、取付けやすい独自構造をしているのも特徴です。具体的には、固定用ネジが放熱フィンを貫くような構造になっていて、これにより放熱フィンの上部からネジを締めることができるようになっています。外観的には、ステルスブラックのアルミトップカバーをはじめ、全体をブラックで統一した洗練されたデザインとなっています。
第10位:Deepcool ASSASSIN IV
【高さ164㎜】140㎜の大型ファンを1基搭載、120㎜ファンは高さを2段階で調節可能、ファンには2つの動作モード、直線的なデザインが個性的
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冷却ファンは2つの放熱フィンタワーの間に140㎜のもの、サイドに120㎜のものを搭載した製品です。サイドの120㎜ファンは高さを2段階で調節可能で、メモリやマザーボード上のヒートシンクなどとのクリアランスによって調節可能です。そして、140㎜のという大型の冷却ファンのために、高さは164㎜となっているので、搭載するPCケースの内部スペースの確認が大切です。
そして、冷却ファンには2つの動作モードがあり、静音性に優れた「静音モード」と、冷却性能に優れた「パフォーマンスモード」を切り替えることができます。デザイン的には、直線と平面で構成されたシンプルな外観ですが、CPUクーラーとしてはなかなかないので、個性となっていますね。
おわりに
今回は、高性能なハイパーCPUクーラーを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
CPU(Central Processing Unit)は日本語で「中央処理装置」で、PCのまさに中心的なパーツであり、それを冷却するCPUクーラーの役割も重要です。上記を参考にして、CPUクーラーを新規導入または交換し、CPUを効率良く冷却して、PC作業の処理の効率化も図ってくださいね。