PCでゲームプレイなどをすると、グラフィックボードに負荷がかかって、冷却ファンの回転が上がってノイズが発生することがありますよね。そこで試したいのが、グラフィックボード用のクーラーです。
というわけで今回は、グラフィックボード用クーラーの基本的な事柄などを解説したうえで、ECサイトなどで販売されている製品の中からピックアップしたおすすめを紹介したいと思います。
グラフィックボード用クーラーの選び方
それでは早速、グラフィックボード用クーラーの選び方を見ていきましょう。
製品のタイプを確認
グラフィックボード用クーラーには、以下のようにいくつかのタイプがあります。
クラボの基盤に設置するタイプ
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ヒートシンクに冷却ファンが取り付けられていて、それをグラフィックボードの基盤側に、熱伝導率パッドを挟んで設置するタイプです。グラフィックボードの基盤を直に冷やすことができます。
ただし、グラフィックボードの上部にスペースが必要となるため、PCケース内のパーツレイアウトによっては干渉してしまう可能性があります。
PCIeスロットに設置するタイプ
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冷却ファンを、グラフィックボードの下の空いているPCIeスロットに取り付けるタイプです。グラフィックボードの冷却ファンと同じ向きでエアフローを発生させて、冷却効率を高めてくれます。
ただし、取り付けには、グラフィックボードの下のPCIeスロットが空いていることが前提になるため、他の拡張ボードを取り付けている場合にはレイアウトを考慮する必要があります。
ステイのみのタイプ
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PCケース内に設置するステイで、好みの冷却ファンを設置するタイプです。手持ちの冷却ファンがある場合はそれを活かすことができますし、設置の自由度が比較的高くなります。
ただし、自由度が高いということは、冷却ファンを別途用意したり、設置位置やスペースを検討する必要があるなどの手間がかかるということでもあります。
静音性の高い製品にする(おおむね20dB(A)以下)
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冷却ファンが回転すると当然、ノイズレベル(dB(A):デシベル)が大きくなります。ノイズが大きすぎると実用的ではないため、最近の冷却ファンは静音性が重視された設計となっています。「静音ファン」と謳っている製品は、おおむね20dB(A)以下となっているので、これが製品を選ぶ際の一つの目安になるでしょう。
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ノイズレベルの単位は、「dB」だけの場合、正確には人間の耳には聞こえない超低周波・高周波も含まれます。「dB(A)」は、人間の耳に聞こえる範囲の周波数帯をピックアップするA補正という聴感補正をかけたもので、簡単に言うと「耳で感じるうるささの程度」。ただし「dB(A)」を簡略化して、単に「dB」と表記することもあります。読み方は、どちらも「デシベル」でOK。
ファンのCFM(風量)は、サイズと回転数に比例
「CFM」(Cubic Feet per Minute)は風量の単位で、1分間に送れる気体の体積(立方フィート)を示しています。この値が大きい冷却ファンは、冷却性能が高いということになります。そして、ファンのサイズ(直径、厚み)が大きいほど、また「rpm」(Revolution Per Minute:1分間に何回転するか)が大きいほど、CFMも大きくなります。
ただし、rpmが大きくなればファンの回転音と風切音が増して、ノイズレベルが大きくなってしまい、通常使用に向かなくなってしまいます。
ファンは、サイズが大きいほど静音性が高い
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大きいサイズのファンの方が、低い回転数で小さいファンと同じCFMを稼ぐことができるので、静音性が高くなります。
【基盤に設置】クラボ用クーラー おすすめ
ここからは、おすすめ製品を紹介していきたいと思います。まずは、基盤に設置するタイプのおすすめ製品を紹介して、その後にPCIeスロットに設置するタイプ、ステイのみのタイプと続きます。
PANO-MOUNTS グラフィックカードクーラー
大型アルミ製ヒートシンクに70㎜ファンが2基、1.2㎜厚の熱伝導シリコンパッドが付属、冷却ファンはデュアルボールベアリング
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大型(180×90×20㎜)のアルミ製ヒートシンクに、2基の70㎜ファンが埋め込まれた製品です。付属する熱伝導シリコンパッド(1.2㎜厚)を挟んで、グラフィックボードの基盤に貼り付けるようにして設置します。さらに、付属のゴムバンド(長さ調整が可能)で両端をグラフィックボードに巻きつけるようにして固定し、冷却ファンの電源ケーブルをマザーボードの端子に接続すれば完成。
冷却ファンにはデュアルボールベアリングが採用されていて、静音性に優れており、長寿命です。冷却ファンの回転数は、マザーボードのBIOSから設定可能です。
ちなみに、RTX3090に取り付けて、温度が95℃から74℃に20℃も下がったというレビューもあります。
IPOTCH GPUバックプレートラジエーター
大型アルミ製ヒートシンクに60㎜ファンが2基、ヒートシンク15㎜厚の薄型
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前出の「PANO-MOUNTS グラフィックカードクーラー」と構造は同じで、ヒートシンクが15㎜と、より薄い製品になります。なので、他のパーツとのクリアランスがあまりない場合などには、こちらの製品の方が適用しやすいです。
ただし、ファン寸法が60×60×10㎜と少し小さくなるため、風量を稼ぐために回転数が高くなって、多少ノイジーになる心配はあります。
Mauknci HISIK24CM-BK
アルミ製ヒートシンクに40㎜のUSBファンが2基、スイッチで回転数を3段階で切替可能、高い汎用性
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放熱性の高いアルミ製ヒートシンクに、40㎜のUSBファンが2基取り付けられた製品。ヒートシンクは80×40×5㎜、USBファンは40×40×10㎜です。80×40×1㎜の熱伝導シリコンパッドも付属しています。冷却ファンには、静音性に優れて長寿命なデュアルボールベアリングが採用されています。
電源はUSB-Aポートから取る仕様で、USBケーブルの長さは100cm。その丁度中間の50cmのところに、3段階の切替スイッチが付いています。PCケース内に設置する場合でも、USB延長ケーブルを利用するなどして上手く配線すれば、手元で回転数をコントロールすることができますね。
なお、この製品はグラフィックボード専用ではないので、他のデバイス(ACアダプタ、外付けHDDなど)にも使えます。
【PCIeスロットに設置】クラボ用クーラー おすすめ
続きまして、PCIeスロットに設置するタイプのおすすめ製品を紹介したいと思います。
FUOYLOO グラフィックス カード クーラー
2,275円(税込)
冷却ファン3基をステイで連結、サイドのRGB LEDが1,600 万色で発光
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冷却ファン3基をステイで連結してPCIeスロットにネジ止めする製品で、グラフィックボードのヒートシンク側からエアフローを送って冷却します。
ステイの手前側にはRGB LEDが装備されており、ケーブルを対応するマザーボードのコネクタに接続すると、1,600万色のブリージングを楽しむことが可能。サイドパネルが強化ガラスやアクリルで透明になっているPCケースに設置するのが良さそうなクーラーですね。
NBROS N-VGACOOLER-80F3
高耐食黒色メッキ鋼板「黒ZAM」を採用、ファン軸は静音性に優れた中空ベアリング、ファン3基用の電源分岐ケーブルが付属
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グラフィックボードに向けた3基の冷却ファンをステイで連結して、PCIeスロットにネジ止めする製品です。冷却ファンは信頼のX-FAN社製「RDL8015S」で、中空ベアリング(改良型流体軸受け)を採用しているため静音性に優れます。
そして、3基のファンの電源を1本化できるファン用電源3分岐ケーブル(型番は「XC-PF3P」)が付属しているので、配線もスッキリします。ステイには、高耐食黒色メッキ鋼板「黒ZAM」を採用されています。
長尾製作所 SS-NPCI-FAN60
PCIスロットカバーから60㎜ファンで排熱
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PCIスロットカバーを3つ使用して、60㎜ファンをPCケース外に排気するように設置する製品です。グラフィックボード下部に熱気がこもらないようにし、さらにグラフィックボードの冷却ファンが新鮮なエアーを吸い込むのを助けてくれます。
冷却ファンは信頼のX-FAN社製「X-FAN RDM6020S」で、軸受けには静音性に優れた中空ベアリング(改良型流体軸受け)を採用しています。ただ、PCIスロットを3段も使用するので、PCIeカードの拡張性は犠牲となってしまいます。
SilverStone SST-FDP02B
PCケースの外側に120㎜ファンを装着して熱気を吸い出す
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3段分のPCIeスロットカバーを利用し、PCケースの外側に120㎜冷却ファンを装着して、PCケース内の熱気を吸い出す製品です(ファン外側には、保護用のグリルが装備されています。また、冷却ファンの電源ケーブルは、PCケース内に引き込めるようになっています)。冷却ファンは120㎜と大きめなので、かなりの冷却効果が期待できそうです。
ただ、USB増設ボードなどを装着している場合は、冷却ファンによってUSBポートが塞がれてしまう心配があるので、PCのパーツ構成を考慮したうえで導入する必要があります。
【ステイのみ】クラボ用クーラー おすすめ
最後に、ステイのみのタイプおすすめ製品を紹介していきたいと思います。ステイに好みの冷却ファンを装着して、グラボを冷却してください。
Side3 グラフィックカード 冷却ファンステイ
ネジ穴の長いステイで冷却ファンの位置の自由度が高い製品
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PCIeスロットのネジ穴を利用して、冷却ファンを設置するためのステイです(全体の長さ210㎜、PCIスロットへのネジ止め部150㎜)。ステイのネジ穴は長くなっていますし(185㎜)、上下左右も特に決まっているわけではないため、位置の自由度はかなり高いですね。
また、増設カードのネジと共締めする形になるので、PCIeスロットも占有しません。なので、他のパーツとの干渉を避けるのが容易になりそうです。
長尾製作所 SS-NPCIFSTY120PRO-V
120㎜ファンでVGAカード用のクーラーを作るキット
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120㎜(厚み25㎜)の冷却ファンを2基連結させて、PCIスロットに装着し、グラフィックボードの下から冷却するためのステイです(1基だけでも可)。PCIスロットは2段分が必要です。
冷却ファンの位置は、左右で12㎜、奥行きで15㎜の調整が可能なので、使用しているグラフィックボードに合わせたエアフローとすることができます。外形寸法は、120㎜ファン2基使用時で265×145×42㎜となります。
アイネックス FST-MAG-C
マグネットで好きな位置にファンを設置可能
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ネジ止めした冷却ファンを、マグネットの力でPCケース内に設置するステイです。外形寸法は21×170×22㎜(マグネットを除く)で、これが2本セットになっています。対応する冷却ファンの大きさは最大140㎜なので、「大型のファンを低速回転させて、静かに大きなエアフローを稼ぐ」という夢が実現できるでしょう。
マグネットはそれなりに強力で、通常使用においては位置がズレることはないようです(レビューを見ると「安定している」という声があります)。
おわりに
今回は、グラフィックボード用のクーラー(と、そのためのステイ)を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
「グラフィックボード用」ということで紹介しましたが、レイアウトによっては、マザーボードやPCIe変換カードに装着したM.2 SSDを冷却するのにも使えそうなものもありますね。いろいろと考えて工夫して、自作PCユーザーの永遠のテーマのひとつとも言える「熱との闘い」に是非とも勝利しましょう。