デスクトップPCにデータ保存用として複数台HDDを設置しようとしたときなど、それらを接続するSATAポートが足りないということもありますよね。そんなときに導入したいのが、PCIeスロットに接続するSATA拡張カードです。
というわけで今回は、SATA拡張カードの選び方について解説してから、ECサイトで購入できるおすすめ製品を紹介してみたいと思います。
SATA拡張カードの選び方
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まず、SATAの最新バージョンは3.0(6Gbps)で、現在販売されているSATA拡張カードは基本的に、このSATA 3.0に対応しています(ときどきSATA 2.0の製品もありますが、本当にときどきです…)。なので、今回紹介する製品はすべてSATA 3.0に対応したものとなります。
それでは以下に、SATA拡張カードの選び方を見ていきましょう。
SATAポートの数で選ぶ
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SATA拡張カードに搭載されているSATAポートの数は、少ないものだと2基や4基で(上の写真)、多いものだと16基や20基となっています(下の写真)。
SATAポートの数が多いと、カードの基盤が大きくなったり、価格も高くなったりします。いたずらにSATAポートを増やしても意味がないので、HDDやSSDなどをいくつ増設するのかを考えてSATA拡張カードを選びましょう。
ロープロファイル用のブラケットが付属している製品も
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それから、2ポートや4ポートなどポート数の少ないの製品は基盤も小さいので、基本的にロープロファイル用のブラケットも付属していて、スリムタイプのPCケースにもインストールが可能となっています。なので、SATA拡張カードを導入予定のPCがスリムタイプであれば、ロープロファイル用のブラケットが付属した製品を選ぶ必要があります。
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ロープロファイル(Low Profile)は、PCIの小型規格のことです。規格の幅は、従来のPCIはボード312(または173)×107㎜/ブラケット120㎜でしたが、ロープロファイルではボード120(または168)×64㎜/ブラケット80㎜と、かなり小さくなっています。
PCIeのコネクタの長さを確認
マザーボードの空きPCIeスロットの長さ(レーン数)を確認する
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まず、「PCI」は、「Peripheral Component Interconnect」の略で、CPUと周辺機器(ペリフェラル)との間をつなぐ通信を行うバスアーキテクチャのひとつ。この帯域幅を拡張したのが、「PCIe(PCI Express)」になります。
現在主流のPCIeのリビジョンは「4.0」と「3.0」です。1レーンあたりの転送速度は、「3.0」では「8Gbps」、「4.0」では「16Gbps」となっています。また、PCIeには「レーン」という概念があり、これを複数束ねて高速化することも可能です。具体的には、4レーンを束ねたものは「×4」、16レーンを束ねたものは「×16」と表記されます。
そして、マザーボードにあるPCIeスロットの長さはレーン数によって違っていて、「×1」のものは短く、「×16」のものは長くなっています(中には、長さは「×16」と同じで、実際のレーン数は「×4」や「×8」のものもあります)。
ちなみに、マザーボードのPCIeスロットでは、「×1」の次に長いのは「×4」になります(「×2」のスロットはほぼありません)。
SATA拡張カードのPCIe端子の長さ(レーン数)を確認する
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SATA拡張カードのPCIe端子の長さも、やはりレーン数によって違っています。こちらは、主に「×1」のものと「×4」のものがあります(上の写真が「×1」の端子で、下の写真が「×4」の端子)。
そして、SATAポート数の多い製品では、複数台のHDDやSSDなどを接続して同時にアクセスした際に速度が低下しないよう、転送速度の速い「×4」を採用しているものがあります(PCIe端子の長さは「×4」でも、実際の転送速度は「×2」のものもあります)。
なので、マザーボードのPCIeのリビジョンと空きスロットのレーン数(長さ)を踏まえて、さらに複数台のHDD/SSDなどに同時にアクセスする使い方をするかどうかも考慮して、SATA拡張カードのレーン数(長さ)を確認して適合する製品を選びましょう。
たとえばレーン数が「×1」の端子を、「×16」のスロットに接続することは物理的に可能です(この場合、速度的には、もちろん「×1」になります)。
逆に、たとえば「×4」の端子を、「×1」のスロットに接続することは、物理的にできません。
【2~4ポート】SATA拡張カード おすすめ製品
それではここから、SATA拡張カードのおすすめ製品を紹介していきたいと思います。まずは、SATAポートが2~4ポートの製品を紹介し、その次に5ポート以上の製品、付加機能のある製品と続きます。
2~4ポートの製品はお手頃価格のものが多く、また基盤が小さいためPCケース内部へのインストールも比較的容易となり、導入のハードルはまあまあ低いですね。
ELUTENG SATA 拡張カード SATA3.0
【2ポート、PCIe ×1、ロープロファイル用ブラケット付属】ブート機能のON/OFFの切り替えスイッチ付き、大型アルミヒートシンクで冷却、ドライバー付き
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SATAポート数は2つ、PCIeのレーン数は×1で、ロープロファイル用のブラケットが付属した製品。大きな特徴は、ブート機能のON/OFFを切り替えるスイッチが付いていることですね。基本的に、SATA拡張カードに接続したSSDやHDDを起動ディスクとすることは可能なので、不要な場合はこの機能をオフにできるということです。
そして、変換チップスには大型のアルミヒートシンクが取り付けられていて、データの連続転送で発熱した場合でも、安心感がもてます。また、取り付ける際に使用するドライバーも付属しています。こうした機能にもかかわらず、価格的にも手頃感があって入手しやすい製品と言えるでしょう。
Anauto PCI-E拡張アダプタボード
【2ポート、PCIe ×1、ロープロファイル用ブラケット付属】ヒートシンク無しで他のパーツと干渉しにくい
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SATAポート数は2つ、PCIeのレーン数は×1で、ロープロファイル用のブラケットが付属した製品。機能がとてもシンプルで、必要最低限な構成となっています。そして、ヒートシンクが無いので、PC内の他のパーツとの干渉がしにくくなっています。
JGGLD SATA拡張ボード
【4ポート、PCIe ×1】ブラケットにエアフロー用の孔あり
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SATAポート数は4つ、PCIeのレーン数は×1の製品。そして、通常のブラケットとロープロファイルブラケットのどちらも、エアフロー用の孔が設けられているのが特徴です。ヒートシンクはありませんが、この孔でエアフローを増やして発熱を抑えてくれるでしょう。
ELUTENG PCIE SATA 拡張カード
【4ポート、PCIe ×1、ロープロファイル用ブラケット付属】大型のアルミヒートシンクで冷却、ドライバー付き
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SATAポート数は4つ、PCIeのレーン数は×1で、ロープロファイル用のブラケットが付属した製品。前出の「ELUTENG SATA 拡張カード SATA3.0」(2ポート)が、4ポートになって、ブート機能のON/OFFを切り替えるスイッチがなくなったモデルになります。
前出同様、変換チップスには大型のアルミヒートシンクが取り付けられていて、データの連続転送で発熱した場合でも、安心感がもてます。また、取り付ける際に使用するドライバーも付属しています。ただ、4ポートになった分、価格は高くなります。
Acouto PCIE SATA 3.0増設ボード
2,899円(税込)
【4ポート、PCIe ×1】AHCIとIDEの切り替えスイッチ付き、大型ヒートシンクで冷却
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SATAポート数は4つ、PCIeのレーン数は×1の製品。そして、特徴的なのが、AHCIモードとIDEモードの切り替えスイッチが付いていることです。これにより、接続したHDD/SSDをブートディスクとして使用する際に、動作モードを適応する方に設定することができます。
そして、変換チップを大型ヒートシンクが覆っているので、転送の際に発生する熱を効率的に放出してくれます。ただし、ロープロファイル用のブラケットは付属していないので、スリムタイプのPCにはインストール不可です。
【5ポート以上】SATA拡張カード おすすめ製品
次は、5ポート以上のSATA拡張カードのおすすめ製品を紹介していきたいと思います。
5ポート以上となると、基板上のポートの位置(そこから伸びるSATAケーブルのレイアウト)や基盤そのものの大きさが、PCケース内の他のパーツと干渉する可能性が高くなるので、この点も考慮しながら見ていってくださいね。
GOWENIC 5ポート SATA3.0 拡張カード
【5ポート、PCIe ×4】サイドに1列に並んだ5つのSATAポート
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SATAポート数は5つ、PCIeのレーン数は×4で高速転送が可能な製品。5つのSATAポートが基盤のサイドに1列で並んだレイアウトなので、SATAポートから伸びる配線が、マザーボードの前方に搭載しているHDDなどに干渉しにくくなります。
ただ、PCケースのサイドがアクリルパネルなど透明の場合は、そこから配線が見えることになるので、この辺を考慮して選ぶと良いかもです。なお、ロープロファイル用のブラケットは付属していないので、スリムタイプのPCケースへのインストールは不可になります。
AREA SD-PE4SA-6L
【6ポート、PCIe ×4、ロープロファイル用ブラケット付属】大型ヒートシンクで冷却
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SATAポート数は6つ、PCIeのレーン数は×4で、ロープロファイル用のブラケットが付属した製品。PCIeは×4なので、SATAのストレージを複数台接続して同時にアクセスしても、帯域には余裕がありますね。また、同時アクセスによる発熱を、大型のヒートシンクで効率的に冷却してくれます。
それから、黒い基盤に赤いSATAポートが映えて、なかなかかっこいいビジュルではないでしょうか。ユーザーからは見えないハーツではありますが、こうしたところも選択する際に考慮してみるのも面白いかもしれません。
StarTech.com 8P6G-PCIE-SATA-CARD
【8ポート(実質)、PCIe ×4、ロープロファイル用ブラケット付属】専用の分岐ケーブルで8ポートとロープロファイル対応を実現
SATAポート数は8つ(実質)、PCIeのレーン数は高速な×4で、ロープロファイル用のブラケットが付属した製品。基盤に付いているポート(専用規格)は2つなのですが、それぞれに4つに分岐するSATAケーブルを接続することで、実質的にSATAポートが8つある状態になります。なかなか珍しい仕様ですね。
これにより、基盤をスリムにすることができて、ロープロファイルにも対応できるようになっています。なので、スリムタイプや薄型のラックマウントPCケースなどで、たくさんのHDD/SSDを搭載したい場合などに、適応する製品になります。
JGGLD PCIe SATA拡張ボード
【10ポート、PCIe ×4】大型ヒートシンクで冷却
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SATAポート数は10基、PCIeのレーン数は×4の製品。基盤の上部にSATAポートが4つと、端部に2階構造のSATAポートが6つで、計10基となっています。そして、PCIeのレーン数が×4なので、高速な転送が可能です。
ただし、こうしたSATAポートのレイアウトの関係で、ロープロファイル用のブラケットは付属せず、スリムタイプのPCには非対応となっています。
StarTech.com 10P6G-PCIE-SATA-CARD
【10ポート、PCIe ×2、ロープロファイル用ブラケット付属】SATAポートが10基でも、レイアウトの工夫でロープロファイルに対応
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SATAポート数は10基、PCIeのレーン数は×2で、ロープロファイル用のブラケットが付属した製品。SATAポートは2階構造のものが5つで、計10基となっています。こうしたレイアウトにより、ロープロファイルにも対応できるようになっています。なかなか工夫していますよね。
そして、PCIeのレーン数は×2で、端子の長さも×2です。これは珍しいのですが、前述のように×4以上のスロットにも装着が可能となっています。ただ、価格はそれなりに高いですね。
GLOTRENDS SA3116J
【16ポート、PCIe ×1】16本のSATAケーブルと3本のSATA電源ケーブルが付属
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SATAポート数は16基、PCIeのレーン数は×1という製品。2階構造のSATAポートが8つで、計16基となっています。そして、SATAケーブルが16本と、5つに分岐するSATA電源ケーブルが3本付属しています。
ただ、PCIeのレーン数が×1しかないので、転送速度についてはあまり期待できません。シンプルに「たくさんのSATAデバイスを接続したい」というニーズに対応する製品と言えますね。また、基盤の大きさとSATAポートのレイアウトの都合上、ロープロファイルには非対応です。
【付加機能あり】SATA拡張カード おすすめ製品
最後に、SATA拡張カードに他の機能が付加された製品のおすすめを紹介していきたいと思います。
付加機能がある製品なら、1つのPCIeスロットで複数機能が追加できるので、貴重なPCIeスロットの節約に繋がりますよ。
StarTech.com PEXESAT322I
【2ポート、PCIe ×1】外部デバイス用のeSATAポートを2基搭載
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SATAポート数は2つ、PCIeのレーン数は×1の製品。特徴は、外部デバイス用のeSATAポートが2基搭載されていること。なので、eSATA接続のHDDなどを所有しているユーザーは、それを繋げて外部ストレージとして使用することができます。
また、ロープロファイル用のブラケットが付属し、スリムタイプのPCにもインストールが可能となっています。
fosa PCI-E SATA + IDE拡張カード
1,992円(税込)
【1ポート、PCIe ×1】IDE(ATA 133)ポートを1基と外部デバイス用のeSATAポートを1基搭載
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SATAポート数は1つ、PCIeのレーン数は×1という製品。特徴は、IDE(ATA 133)ポートが1基と、外部デバイス用のeSATAポートが1基搭載されていることです。
古いIDE(ATA 133)接続のHDDなどを所有しているユーザーなら、この製品は貴重ではないでしょうか。また、eSATA接続のHDDなどを所有しているユーザーにとっても、価値がありますね。
おわりに
今回は、SATA拡張カードのおすすめ製品を、ポート数と付加機能有りで分けて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
HDDなどのストレージを容量の大きいものに買い替えても、以前からあるストレージはそのまま使いたい場合もあるかと思います。そうした場合などに、上記を参考にしてSATA拡張カードを導入して、古い資産も活かしながらPCを使い続けていくのがサスティナブルで良いですね。