筆者はPCでの記事執筆や写真編集などの作業をほぼ毎日行っているのですが、なかなか思うように進みません。その原因は、PCパーツの性能の低さだ! そうに違いない! という自分の力を棚上げした身勝手な考えによりまして、SAMSUNGのM.2 SSD 970 PRO 512GBと、アイネックスのヒートシンク搭載M.2 SSD変換PCIeカード AIF-08を購入しました。
そんなわけで今回は、これらの製品を実際に使用してみた感想などを書いてみたいと思います。
目次
製品の概要
最初に、SAMSUNG M.2 SSD 970 PRO 512GBと、アイネックス M.2 SSD変換PCIeカード AIF-08の概要についてです。
SAMSUNG M.2 SSD 970 PRO 512GBの概要
MLCを採用、最新コントローラー「Phoenix」を搭載、圧倒的なスピード、ラベルはヒートスプレッダ
出典:www.amazon.co.jp
970 PRO 512GBはMLCを採用し、SAMSUNGの最新コントローラー「Phoenix」を搭載した、公称値でシーケンシャルリード3,500MB/s、シーケンシャルライト2,300MB/sという、とてつもなく高速なM.2 SSDです。この速度に惹かれて購入しました。
また、貼付されたラベルは銅箔の層を含むヒートスプレッダになっていて、放熱性が高められています。
アイネックス AIF-08の概要
大きなヒートシンクを搭載したPCIe変換カード、サーマルパッドは厚さ違いで4枚付属
出典:www.amazon.co.jp
筆者が使用しているマザーボードにはM.2スロットが1つあるのですが、既に使用しているため、PCIe変換カードが必要になりました。
この製品は大きなヒートシンクを搭載しているので、かなりの冷却性能が期待できると考えての購入です。付属のサーマルパッドは、ヒートシンク側が2種類(1.0mm/1.5mm)、PCIeカード側が2種類(0.75mm/1.75mm)の計4枚。なので、チップやコントローラーの高さに応じて、ヒートシンク・PCIeカードとぴったり密着させられます。
また、ロープロファイル用のブラケットも付属しています(今回取り付けるPCケースはミドルタワーなので使いません)。
SAMSUNG 970 PRO 512GBの速度
次は、970 PRO 512GBのベンチマークの結果と、筆者の用途における体感速度についてです。
ベンチマークの結果は、ほぼ公称値どおりで高速
970 PRO 512GBをアイネックスのPCIe変換カードAIF-08で自作PC(主なスペックは下記参照)に取り付け、CrystalDiskMark 6.0.0にて、1GiB、5回のベンチマークを行ったところ、シーケンシャルリードが3,456.1MB/s、同ライトが2,346.4MB/sと、ほぼ公称値どおりの圧倒的な速度を叩き出してくれました!
GIGABYTE GA-Z170XP-SLI(rev. 1.0)
出典:static.gigabyte.com
主な用途は写真データの現像作業スペース、体感速度は少し上がった程度
970 PRO 512GBは主に、Nikon D850で撮影したRAWデータや、HASSELBLAD 500C/Mで撮影してスキャンしたTIFFデータの現像作業スペースとして使用します。これらの1枚当たりのデータ量は、RAWが55~76MB、TIFFが97~100MBくらいとかなりの大きさ。
使用しているソフトは、閲覧・管理はNikon View NX-i、現像はNikon Capture NX-Dです。現像では、露出とホワイトバランスの調整、傾き補正、レタッチブラシでのゴミ取り、トリミングをするくらい。
これまではHDDに保存していたのですが、表示や修正の反映に20秒くらいかかることもあるなど結構な重さだったので、速度向上のためにM.2 SSDの970 PRO 512GBを導入してみたというわけです。
そして970 PRO 512GBに変更し、実際に写真データの保存・現像をしてみた結果、体感速度は「少しは上がったかな~」というくらいでした。ベンチマークと体感速度は違うということは分かっていましたが、もうちょっと変わるかなと期待していたので、少し悲しい…。
ちなみに、余っていた古い2.5インチSSD※にも写真データをコピーして現像してみてたところ、体感速度は970 PRO 512GBとあまり変わりませんでした。なので、これから購入するのなら、2.5インチSSDで十分ですね。
アイネックス AIF-08の冷却性能
続きまして、アイネックス AIF-08の冷却性能についてです。まずヒートシンク・サーマルパッドなしの状態で温度計測を行い、その後にヒートシンクを付けた状態で温度計測を行って、両者を比較しました。
なお、PCケースはミドルタワーで、吸気用の120mmファンが2基、排気用の120mmファンが1基付いています。取り付けたPCIeスロットは、PCIスロットも含めて数えて下から3番目にあるPCIEX8のものです。室温は28℃です。
ヒートシンク・サーマルパッドなし状態での温度
以下は、PCIe変換カードに970 PRO 512GBを取り付け、ヒートシンクもサーマルパッドもなしの状態で、CrystalDiskInfo 7.6.0で計測した温度です。
前述のように、970 PRO 512GBに貼付されたラベルは銅箔の層を含むヒートスプレッダになっていることもあり、アイドル時の温度は34℃と、そんなに高くないですね。
しかし、負荷をかけると温度はぐんぐん上昇し、CrystalDiskMark 6.0.0の1GB・5回を実施すると、最高で59℃になりました。さらに、同ソフトで32GB・シーケンシャル9回を実施した場合の最高温度は70℃にもなっています。後者はかなり特殊な状況と言えるので、普段使いでここまでの高温になることはあまりないかと思いますが、この温度に達することがあるかと思うと少し怖いです。
ヒートシンク・サーマルパッド有り状態での温度
以下は、PCIe変換カードに970 PRO 512GB、サーマルパッド、ヒートシンクを取り付けた状態で、CrystalDiskInfo 7.6.0で計測した温度です。
ちなみにサーマルパッドは、ヒートシンク側は薄い方の1.0mm、PCIeカード側は厚い方の1.75mmを使用しています。
アイドル時の温度は31℃で、ヒートシンクなしの状態から-3°となりました。
負荷をかけた状態でも、温度の上昇はかなり抑えられて、CrystalDiskMark 6.0.0の1GB・5回実施における最高温度は38℃、32GB・シーケンシャルのみ9回実施における最高温度は42℃まで下がりました。かなり冷却ができていますね。これなら安心して使用することができます。
ヒートシンク・サーマルパッド | 温度差(冷却性能) | ||
---|---|---|---|
なし | 有り | ||
アイドル時の温度(PC起動から10分間放置) | 34℃ | 31℃ | -3℃ |
CrystalDiskMark 6.0.0、1GiB、5回実施中の最高温度 | 59℃ | 38℃ | -21℃ |
CrystalDiskMark 6.0.0、32GiB、シーケンシャルのみ9回実施中の最高温度 | 70℃ | 42℃ | -28℃ |
おわりに
大きなヒートシンクを搭載したアイネックス AIF-08は、その見た目による期待を裏切ることなく、十分な冷却性能を発揮してくれました。
さらに、ビジュアル的にも配慮があり、上の写真のように基盤の端部に青のLEDが6つ仕込まれています。筆者の自作PCは元々、青のLEDが付いたCPUクーラーや冷却ファンを組み込んでいたので、カラーコーディネート的にもピッタリでした。良い買い物ができて嬉しいです。