筆者はデータのバックアップ先として、別PCにUSB接続した外付けHDD(ハードディスク・ドライブ)や、また別のPCの内蔵HDDを使用していたのですが、長年蓄積された大量の動画や写真などにより、空き領域が残りわずかとなってしまいました。
そのため、新たなバックアップ先として、超大容量のHDDと、それをUSB接続するケースを購入しました。今回は、そのHDDとケースについてレビューしてみたいと思います。
目次
HDDはSeagate Exos X12(メーカーリファブ)
クラウドベースのデータセンター向けHDD
51,195円(税込)
SeagateのExos X16、Exos X12、Exos X10エンタープライズHDDは、クラウドベースのデータセンター向けの製品で、優れた拡張性・安全性・信頼性を兼ね備えています。もちろん、デスクトップPCで使用することも可能。しかし、一般的な用途では正直、コスパが良いとは言えません。
なのですが、今回はたまたまメーカーリファブ(Refurbished、再生品)でお手頃価格となっているものを見つけたので、それをゲットしたというわけです。
出典:www.amazon.co.jp
メーカー再生品は、「中古品」とは異なり、以下のいずれかに該当した製品になります。
こうした製品はその後、メーカーによって検査され、再度販売が可能と判断された場合に、メーカー再生品として価格を下げて店頭に並びます。なので、製品に特に問題はなく、価格的にかなりお得と言えますね。
また、メーカーリファブを購入することは「廃棄される製品を減らす」ということであり、環境保護という観点からも推奨されています。
Seagate Exos X12の主な特徴
出典:www.amazon.co.jp
今回購入したSeagate Exos X12の主な特徴を、以下に見ていきます。
保証期間は、長期の5年間(一般のコンシューマー向けHDDは、2年間または3年間)。
平均故障間隔(MTBF:Mean Time Between Failure)は、デバイスなどの信頼性を表す指標。これが、当製品では250万時間とかなり長くなっています(一般のコンシューマー向けHDDは100万時間など)。
高度な書込み/読取りキャッシングにより、応答時間を最適化して、短時間でより多くの処理の実行できるなど、ワークロードの効率化が図られています。
アイドル時間の状況に応じた適切な省電力モードを選択することで、ドライブの消費電力を低減します。
年間負荷制限は550TB/年と、一般のコンシューマー向けHDDの50TB/年や180TB/年と比べて、3倍以上となっています。
この製品は、従来の空気充填ではなく、ヘリウムが充填されたモデル。気流抵抗の少ないヘリウムによって大容量化を実現しただけでなく、省電力性や静音性なども向上しています。
なお、ヘリウム充填HDDの特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
HDDケースはロジテック LGB-EKU3
2,193円(税込)
放熱性に優れたアルミボディを採用、UASPに対応
出典:www.amazon.co.jp
アルミボディを採用し、優れた放熱性を実現。高速伝送を実現するUSB 3.0のUASPモードにも対応しています。
そして、ロジテックのオリジナルツール、フォーマットソフトの「Logitecディスクフォーマッタ」、HDDの中身を完全に削除する「Logitecディスクイレイサ」、バックアッフソフトの「Logitecミラーリングツール」が付属しているので、いろいろ役に立ちそうです。
UASPとはデータ転送を効率化し、実効速度を高める技術
UASP(USB Attached SCSI Protocol)はUSBの拡張仕様のひとつで、ストレージ(SSDやHDDなど)とのデータ転送を効率化し、実効速度を高める技術です。利用するには、OSとUSB機器の両方が対応している必要があります。
OSについては、Windowsは8以降、Macは10.8以降でサポートされています。なので、最近のPCとMacなら、対応するUSB機器を用意すれば利用可能です。
Seagate Exos X12の転送速度(ローカル)
GIGABYTE GA-Z170XP-SLI(rev. 1.0)
出典:static.gigabyte.com
先に触れていますが、Seagate Exos X12の転送速度の公称値は261MB/sです。
これを筆者が普段メインで使用している自作PC(主なスペックは下記参照)に、SATA3.0とロジテック LGB-EKU3(USB 3.1 Gen1)で接続し、それぞれ次のテストを実施しました。
また、Seagate Exos X12には既に約5TBのバックアップデータを保存していて、使用率は46%となっています。これを他に移すのはとても大変なので、このままテストを実施しました。
SATA3.0接続
CrystalDiskMark 6.0.2のベンチマーク
上の画像のように、シーケンシャルリードが220.3MB/s、同ライトが216.0MB/sという結果でした。前述した転送速度の公称値(261MB/s)よりも低くなりましたが、使用率46%ということが影響しているのかもしれません。
10GBダミーファイルの書き込み
10GBダミーデータをM.2 SSD(SAMSUNG 970 PRO 512GB)から書き込んでみると、上の画像の1枚目にあるように、書き込みの最初の35%くらいまでは2GB/s以上の超高速となっています。これはおそらく、キャッシュの影響ではないでしょうか。
しかし、その後は一気に減速して、210MB/s前後で落ち着きました。前述のベンチマークの結果と、ほぼ同じです。
10GBの書き込みは34.98秒で終了し、全体としての速度は約292MB/sと、かなり高速な結果となりました。
ロジテック LGB-EKU3によるUSB 3.1 Gen1接続
CrystalDiskMark 6.0.2のベンチマーク
シーケンシャルリードが215.5MB/s、同ライトが203.4MB/sという結果でした。接続をUSB 3.1 Gen1に変換している影響で、SATA3.0接続時(シーケンシャルリード220.3MB/s、同ライト216.0MB/s)よりは、多少劣ります。
10GBダミーファイルの書き込み
書き込みは50.61秒で終了し、速度は約202MB/sとなりました。SATA3.0接続(約292MB/s)と比較すると、2/3くらいに低下しています。
それでも、速度低下をこの程度まで抑えている変換チップは、かなり優秀と言えるのではないでしょうか。
Seagate Exos X12の転送速度(Gigabit LAN経由)
出典:www.amazon.co.jp
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続きまして、Gigabit LAN経由での転送速度です。
普段、ファイル・メディアサーバーとして使用しているスモールファクターのベアボーンキット、Shuttle DS437T(主なスペックは下記参照)に、Seagate Exos X12をロジテック LGB-EKU3(USB 3.1 Gen1)で接続し、それをGigabit LAN経由で、前述の自作PCにネットワークディスクとしてマウントしたうえで、ローカルの場合と同様のテストを行いました。
Gigabit LAN経由
CrystalDiskMark 6.0.2のベンチマーク
予想どおりGigabit LANがボトルネックとなり、シーケンシャルリードが113.5MB/s、同ライトが120.8MB/sという、ほぼGigabit LANの上限速度(125MB/s)となる結果でした。
前述のローカル接続(SATA3.0接続:シーケンシャルリード220.3MB/s、同ライト216.0MB/s、ロジテックLGB-EKU3でのUSB 3.1 Gen1接続:同リード215.5MB/s、同ライト203.4MB/s)の半分くらいの速度ですね。
10GBダミーファイルの書き込み
書き込みは1分30.00秒で終了し、速度は約113MB/sとなりました。やはり、Gigabit LANのボトルネックの影響が顕著に現れています。
おわりに:LAN経由の運用でも「遅い」とは感じないが…
筆者は実際のバックアップを、上記のGigabit LAN経由で行っているので、書き込み速度は約113MB/sということになります。しかし、他の作業をしながらバックグラウンドで行ったり、その日の作業が終わってちょっと席を外すときに行ったりしているので、この速度でも特に「遅い」とは感じません。
なのですが、純粋に「もっと速度アップが図れるのか?」という興味に基づき、今後もいろいろと試してみたいと思います。
51,195円(税込)
2,193円(税込)