OpenCore Legacy Patcherで古いMacに最新OS&M.2 SSDへ換装

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 筆者が所有しているMacBook Pro(Retina, 13-inch, Late 2012)は、既にオブソリート製品に追加されている、サポート終了の機種です。また、このMacBook ProにはmacOS Catalina(バージョン10.15.7)までしかインストールできず、最終更新は2022年8月18日なので、このままではセキュリティ上の問題があります。

 ですが、筆者の主な用途(ミュージック、Excel、iPhoneの母艦など)からすると、このMacBook Pro(主なスペックは、CPUがCore i5 2.5GHz、メモリが8GB)でも十分。なので、使えるものなら使い続けたい。

 そこでいろいろ調べてみると、サポート対象外となりますが、OpenCore Legacy Patcher(詳しくは後述)を使えば最新の(原稿執筆時点)macOS Monterey(バージョン12.6.1)をインストールできることが判明。ところが、いざインストールしようとすると、内蔵SSD (128GB)の空き容量が足りないために、インストールできませんでした。

 というわけで今回は、筆者のMacBook ProのSSDを500GBのM.2 SSDに換装し、macOS Monterey(バージョン12.6.1)をインストールした過程を紹介したいと思います。


 なお、この記事の内容によって被った損害・損失について、当方では一切の責任を負いかねます。ご了承ください。

投稿日 2022/10/20

MacBook Pro(Retina, 13-inch, Late 2012)の主なスペック

MacBook Pro (Retina, 13-inch, Late 2012)
出典:support.apple.com

MacBook Pro (Retina, 13-inch, Late 2012) 接続および拡張性
出典:support.apple.com
 前述していますが、筆者のMacBook Proの主なスペックは、CPUがCore i5 2.5GHz、メモリが8GB、SSDの容量は128GBです。


 インストールできるOSは、公式にはmacOS Catalina(バージョン10.15.7)までとなっています。

macOS Catalinaインストーラーの作成

 最初に、macOS Catalinaインストーラーを作成します。SSDの換装後に、このインストーラーからMacBook Proを起動して、Time Machineで取ったバックアップを復元するためです。

補足
 筆者のMacBook Proの起動時に option + command (⌘) + R を押しても、macOS Catalinaインストーラーから起動します。

 このキーの組み合わせは、そのMacと互換性があるうちでいちばん新しいmacOSのインストーラーから起動する、というものです(場合によっては、そのMacに当初搭載されていたmacOS、またはそれにいちばん近い現在も提供されているバージョンのインストーラーからになります)。

 ですが、今回はせっかくなので、macOS Catalinaインストーラーを作成してみました。

 ちなみに、起動時に command (⌘) + R を押すと、筆者のMacBook Proに当初搭載されていたmacOS Mountain Lion(バージョン10.8)インストーラーから起動します。しかし、この場合、macOS CatalinaのTime Machineのバックアップの復元は完了するものの、macOS Catalinaは起動しませんでした。

メディアを用意


 まずは、インストーラーを保存するメディアを用意します。今回は、手持ちのmicroSD 32GBとUSBカードリーダーを使用しました。名前は「SD」にしています。これを、USBポートに接続します。

ダウンロード・インストール



 Appleサポートのページ(以下のURL参照)にある「macOS Catalina」のリンクをクリックします。

外付けのドライブやセカンダリボリュームを起動ディスクとして使い、そこから macOS をインストールできます。



 Apple Storeアプリが立ち上がるので、「入手」をクリック。



 システム環境設定の「ソフトウェア・アップデート」が立ち上がるので、「ダウンロード」をクリック。



 ダウンロードが始まります。



 ダウンロードが完了すると、アプリケーションフォルダにインストーラーが保存されています。そして、インストーラーが立ち上がりますが、インストールを続けずに、そのまま終了します。

ターミナルでインストーラーの作成


 ターミナルを立ち上げ、以下のコマンドを入力して、return キーを押します。最後の「SD」の部分は、それぞれが設定した名前に置き換えてください。

sudo /Applications/Install\ macOS\ Catalina.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/SD



 パスワードが求められるので、入力して return キーを押します(パスワードは入力しても表示されません)。


 メディアの消去の確認を求められるので、「Y」と入力して return キーを押します。


 消去とインストーラーのコピーの進行状況が表示されて、終了します。



 すると、microSDの名前が「Install macOS Catalina」となり、そこに「macOS Catalinaインストール」が作成されています。

Time Machineへバックアップ


 バックアップ先として、余っていたHITACHIのハードディスク500GBと、USBハードディスクケースを使用しました。名前は「HITACHI 500GB」にしています。



 これをTime Machineのディスクとして、バックアップを取りました(このとき、スクショを撮り忘れました。上のスクショは後から撮ったものなので、表示が少し違います。涙)

MacBook Proの分解・SSDの換装

底カバーの取外し


 底カバーの10本のネジを外します。これは特殊なネジで、5溝の星型をした「ペンタローブネジ」です。サイズはP5になります。


 対応するドライバーは「アネックス(ANEX) 精密ドライバー 特殊 5溝 1.2mm No.3470-G」です。

 実は5年ほど前に、このMacBookのバッテリーを交換したことがあり、そのときにこのドライバーを購入していました。

アネックス(ANEX) 精密ドライバー 特殊 5溝 1.2mm No.3470-G
713円(税込)

出典:www.amazon.co.jp

※価格は2022年10月20日時点のものであり、変更されている場合があります(以下同)。


 外したネジはこちら。長さは、ヒンジ側の中央2本だけ2.3㎜と少し短く、残りは3.0㎜です。


 底カバーを外したところ。


 排気口のところに、すごいホコリが溜まっていました。


 底カバーの内側。


 こちらも、すごいホコリです。

 このままでは流石に無理なので、掃除しておきました。

SSDトレイの取外し


 ちょうど、トラックパッドのところに、SSDトレイがあります。これを取り外します。

注意
 この作業は本来なら、バッテリーを外してから行うべきものです。バッテリーが接続されたままだと、ショートしてロジックボードが破損する恐れがあります。



 SSDケーブルのコネクタ。これを、


 ロジックボード上のソケットから外します。手元にあった、プラスチック製のピンセットを使いました。


 力を入れずとも、けっこう簡単に外れます。


 SSDトレイにあるバネ部分を押しながら持ち上げると、


 SSDトレイが外れました。


 外したSSDトレイ。


 裏返すと、SSDが見えます。

M.2 SSDへの換装


 SSDを固定しているネジも特殊で、こちらは6溝の星型をした「トルクスネジ」です。サイズはT5になります。このドライバーも、実は持っています。

 そして、ネジを外そうとしたのですが、何故か回りません。よく見ると、ドライバーのグリップが空回りしていました(これだから安い工具は困ります)。

 そう言えば、以前に使ったときにも空回りしたような…。そのときは、ドライバーの軸をラジオペンチで挟んで回したように記憶しています。今回も、その方法を試してみましたが、ネジが固くてダメでした。


 なので、軸を引っこ抜いて、瞬間接着剤でくっつけてみます。


 今度は上手くいきました。


 そして、換装用に用意したのが、こちら。WestanDigitalの「WD Blue SA510 M.2 2280 500GB」(SATA)と、M.2の端子から7+17ピンへの変換アダプタ「Sintech ST-M2PRO」です。

WestanDigital 内蔵SSD 500GB WD Blue SA510 M.2-2280 SATA WDS500G3B0B-EC 【国内正規代理店品】
8,626円(税込)

出典:www.amazon.co.jp

Sintech M2(NGFF) SATA SSDカード 24ピン MacBook Pro 2012,early2013 Retina SSD交換用 ブラック m2PRO
2,380円(税込)

出典:www.amazon.co.jp



 開封してみました。


 裏側はこうなってます。


 SSDトレイに取り付けます。


 M.2 SSDの端子を変換アダプタに差し込んで、


 それをSSDトレイのソケットに差し込みます。


 ネジで固定すれば完了です。

 後は、逆の手順でMacBook Proを元に戻します。

Time Machineから復元


 先に作成しておいた、macOS Catalinaインストーラーが入っているmicroSD 32GB・USBカードリーダーをUSBポートに接続して MacBook Proの電源を入れます。このとき、 option キーを押し続けるとStartup Managerが起動するので、microSD 32GB・USBカードリーダーを選択し、 Enter キーで決定します。

補足
 前述のように、筆者のMacBook Proは起動時に option + command (⌘) + R を押しても、macOS Catalinaインストーラーから起動します。



 すると、macOS Catalinaインストーラーから起動し、macOSユーティリティが立ち上がるので、そこの「ディスクユーティリティ」を選んで「続ける」をクリックします。


 換装した「WD Blue SA510 M.2 2280 500GB Media」がちゃんと認識されていました。


 上部中央の「消去」ボタンをクリック。現れたダイアログで、フォーマットは「APFS」、方式は「GUIDパーティションマップ」にします。名前は、これまでと同じ「Macintosh SSD」としました。そして、「消去」をクリック。


 消去が終わったら「完了」をクリックし、ディスクユーティリティを終了します。


 macOSユーティリティに戻るので、「Time Machineバックアップから復元」を選んで「続ける」をクリック。


 そのまま「続ける」をクリック。


 先程バックアップを取っておいた「HITACHI 500GB」を接続して選択し、「続ける」をクリック。


 バックアップのリストが表示されるので(今回は1つのみ)、復元する日時のものを選択して「続ける」をクリック。


 インストール先には、先程消去した「Macintosh SSD」を選択。そして、「復元」をクリック。


 ディスク消去の確認が求められるので、「ディスクを消去」をクリックします。


 復元が始まりました。しばらく時間がかかるので待ちます。


 復元が終わると、換装したSSDからMacBook Proが起動しました。


 空き容量が405.99GBもあります! これで、macOS Montereyをインストールすることができます。

OpenCore Legacy Patcherでインストーラーを作成

OpenCore Legacy Patcherとは?

OpenCore Legacy Patcherアプリのアイコン

 そもそも「OpenCore」とは、オープンソースのブートローダーです。このプロジェクトの一環として、Old Mac向けに開発されたのが、今回使用する「OpenCore Legacy Patcher」になります。

 OpenCore Legacy Patcherは、簡単に言うと、macOSを「このMacは、(古いMacではなく)新しいMacです」と騙すことで、macOS Montereyをインストールする、というものです。

メディアを用意


 まずは、インストーラーを保存するメディアを用意します。今回は、手持ちのADATAのSSD SP900 64GBと、USBハードディスクケースを使用しました。これを、USBポートに接続します。

ダウンロード・インストール

 OpenCore Legacy PatcherのReleasesページ(以下のURL参照)にアクセスします。このときの最新バージョンは、0.4.11です。

Experience macOS just like before. Contribute to dortania/OpenCore-Legacy-Patcher development by creating an account on GitHub.



 そして、少し下の「Assets」にある「OpenCore-Patcher-GUI.app.zip」のリンクをクリックします。



 ダウンロードの許可を求められるので、「許可」をクリック。



 ダウンロードされたファイルを開く確認を求められるので、「開く」をクリック。



 OpenCore Legacy Patcherが立ち上がったら、「Create macOS Installer」をクリック。



 今回はmacOS Monterey(バージョン12.6.1)のインストーラーを新たにダウンロードするので、「Download macOS Installer」をクリックします。



 問い合わせが始まって、



 ダウンロード可能なmacOSのリストが表示されます。「macOS 12.6.1 (21G215 – 12.4GB)」が、今回インストールするmacOS Monterey(バージョン12.6.1)なので、それをクリック。




ダウンロードとベリファイが終わるまで、しばらく待ちます。



 パスワードが求められるので、入力して「OK」をクリック。




 アプリケーションフォルダへのインストールと展開が終了すると、「Flash Installer」と表示されるので、それをクリック。



 すると、macOSインストーラーの選択が促されます。リストにあるのは、アプリケーションフォルダに保存されているmacOSインストーラーです。今回は、先に保存していたmacOS Catalinaと、今保存したmacOS Montereyが表示されています。

 なので、「Install macOS Monterey: 12.6.1(21G215)」の方をクリックします。



 macOS Montereyインストーラーを保存するメディアを選択します(メディアは一旦、消去されます)。先程、USBポートに接続しておいたADATA SSD SP900 64GBを使用するので、「disk5 – 900 – 64.0 GB」をクリック。

 ちなみに、「disk2 – HDP725050GLA360 – 500.1 GB」は、Time Machineバックアップ用のハードディスクです。外しておけばよかった(後で外しました)。



 パスワードを求められるので、入力して「OK」をクリックします。



 macOS Montereyインストーラーのインストールが始まります。



 インストールが完了すると、今度はOpeCoreをインストールするかどうかの確認を求められるので、「Install OpeCore to disk」をクリックします。

 これをインストールすることで、macOS Montereyインストーラーを保存したメディア(ADATA SSD SP900 64GB)からMacBook Proを起動できるようになります。


 続けて「Install to disk」をクリック。



 OpeCoreをインストールするメディアを選択します。ADATA SSD SP900 64GBにインストールするので、「disk5 – 900 – 64.0 GB」をクリックします。

 ちなみに、「disk0 – WD Blue SA510 M.2 2280 500GB – 50」は、先に換装したSSDです。



 「disk5s1 – EFI – 209.7 MB」をクリック。



 パスワードを入力して「OK」をクリック。



 今すぐ再起動するかどうかの確認が求められます。今回は、今すぐ再起動はしないので「Ignore」をクリックします。



 OpenCoreがADATA SSD SP900 64GBにインストールされて、「–OpenCore transfer complete」と表示されます。「Return to Main Menu」をクリックして作業終了です。

macOS Montereyのインストール

 ADATA SSD SP900 64GB・USBハードディスクケースを接続して、MacBook Proの電源を入れます。このとき、option キーを押し続けます。


 すると、Startup Managerが立ち上がるので、「EFI Boot」を選択して Return キーを押します。



 OpenCoreのブートピッカーが立ち上がるので、「Install macOS Monterey」を選択して Return キーを押します。



 macOS Montereyのインストーラーから起動しました。しかし、なぜか表示がすごく小さいです! 見にくい! なので、この後はメガネ型ルーペをかけながら作業しました。

 そして、この後の画像は、小さいものを拡大しているため画質が粗くなります。ご了承ください。


 「macOS Montereyインストール」を選択して「続ける」をクリック。


 そのまま「続ける」をクリック。


 使用許諾契約の条項への同意が求められるので、「同意する」をクリック。


 そのまま「同意する」をクリック。


 インストール先として、先に換装したSSD(名前は「Macintosh SSD」)を選択し、「続ける」をクリック。


 インストールが始まるので、しばし待ちます。


 インストール中に、何度か再起動します。その際には「macOS Installer」を選びます。


 インストールが完了すると、「macOS Installer」から「Macintosh SSD」に変わっているので、これを選びます。


 そして、「アクセシビリティ」と


 「解析」の設定を経て、


 macOS Monterey(バージョン12.6.1)が起動しました! 嬉しいです!


 こんなメッセージが出ましたが、おそらくインストールしていたVirtual Box関連だと思います。まあ、「OK」をクリックするしかありませんね(笑)。

OpenCoreを内蔵SSDにインストール


 macOS Montereyの起動時には、上のようなメッセージも出ました。これは、内蔵ストレージにOpenCoreをインストールするよう促すものです。そうしないと、macOS Montereyインストーラーのメディアからしか起動できないためです。

 なので、「OK」をクリックします。



 すると、OpenCoreのビルドが始まって、終了すると、



 インストールの確認が求められるので、「Insatll to disk」をクリックします。



 インストール先を選びます。内蔵SSDは「disk0 – WD Blue SA510 M.2 2280 500GB – 50」なので、これをクリック。



 「disk0s1 – EFI – 209.7 MB」をクリック。



 パスワードを入力して「OK」をクリック。



 インストールが始まります。



 今すぐ再起動するかどうかの確認が求められるので、「Rboot」をクリックして再起動します。

 こうすると、macOS Montereyインストーラーのメディアなしで、MacBook Proだけで起動できるようになります。

 作業は以上です。




 見てくだい! MacBook Pro(Retina, 13-inch, Late 2012)に、macOS Monterey(バージョン12.6.1)が無事にインストールできました!

 その後、少し使ってみましたが、今のところWi-Fi、Bluetooth、SDカードリーダーなどの機能に問題はなく、快適に動いてくれています。

おわりに(費用について)

 今回かかった費用は、WestanDigitalの「WD Blue SA510 M.2 2280 500GB」が7,479円、M.2の端子から7+17ピンへの変換アダプタ「Sintech ST-M2PRO」が2,380円、合計9,859円でした(いずれも購入時の価格)。

 この金額の投資でMacBook Proが延命できるのですから、なかなかのコスパではないでしょうか。これで、あと数年は使えるかなぁ…。もしかしたら、5年前に交換したバッテリーがダメになるかも。そのときは、また考えます。

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