デスクトップPCでいろいろな周辺機器を使っていると「USBポートが足りない!」ということがありますよね。そんなときに導入したいのが、USB増設カードです。
というわけで今回は、USB増設カードの選び方について解説してから、ECサイトで購入できるおすすめ製品を紹介してみたいと思います。
USB増設カードの選び方
それでは早速、USB増設カードの選び方を見ていきたいと思います。
USBのバージョンは基本的に3.2 Gen1、高速転送が必要なら3.2 Gen2
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現在市販されているUSB増設カードのポートのバージョンは、基本的には3.2 Gen1(信号速度5Gbps、データ転送速度500MB/s。理論値、以下同)となっています。ただし、中にはUSB 3.2 Gen2(信号速度10Gbps、データ転送速度1,000MB/s)に対応しているものもあります。
なので、USBポートに、たとえば外付けケースに入れたM.2 SSD(PCIe3.0×4/NVMeのものはリード3,400MB/s・ライト3,000MB/sなど、PCIe4.0×4/NVMeのものはリード7,000MB/s・ライト5,000MB/sなど、PCIe5.0×4/NVMeのものはリード12,400MB/s・ライト11,800MB/sなど)を接続して使用するなど、かなりの転送速度が求められる場合には、USB 3.2 Gen2に対応したUSB増設カードにするのが良いですね。
現在、一般的に使用されているUSBのバージョンには、2.0、3.0、3.1、3.2があり、3.1と3.2にはGen1とGen2があって、さらに名称変更だけされて転送速度は変わらないなど、非常にややこしいのですが、まとめると次のようになります。
USB 2.0 | |||||
USB 3.0 | USB 3.1 Gen1 | USB 3.2 Gen1 | |||
USB 3.1 Gen2 | USB 3.2 Gen2 | ||||
USB 3.2 Gen2×2 |
USB-Cポートが搭載されているものが◎
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製品の中には、新しい形状となったUSB Type-C(USB-C)ポートを採用しているものもあります(上の写真では、左側にある小さい方がUSB-Cポート)。USB-Cを採用した周辺機器は既に一般的になっていますので、USB増設カードもやはりUSB-Cに対応したものにするのが良いですね。
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左がUSB-A、右がUSB-C
USB-Cのコネクタは、従来のUSB Type-A(USB-A)よりもサイズが小さくなっています。また、USB-Cは上下左右が対照の形状であるため、向きを気にせずに接続できます(USB-Aでは「向きが逆で差し直し」ということがよくありましたが、USB-Cでは解消!)。
搭載しているUSBポートの数を確認
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搭載しているUSBポートの数は、USB増設カードによってもちろん異なっていて、少ないものだと2ポート、多いものだと8ポートあるものもあります。なので、自分の用途からしてUSBポートがどれくらい必要なのかを考慮して製品を選びましょう。
ロープロファイル用のブラケットが付属している製品も
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それから、2ポートの製品は基盤が小さいので、基本的にロープロファイル用のブラケットも付属していて、スリムタイプのPCケースにもインストールが可能となっています。なので、USB増設カードを導入予定のPCがスリムタイプであれば、ロープロファイル用のブラケットが付属した2ポートの製品を選ぶ必要があります。
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ロープロファイル(Low Profile)は、PCIの小型規格のことです。規格の幅は、従来のPCIはボード312(または173)×107㎜/ブラケット120㎜でしたが、ロープロファイルではボード120(または168)×64㎜/ブラケット80㎜と、かなり小さくなっています。
基盤上にピンコネクタがある製品も
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また、製品の中には、基盤上にピンコネクタがあって、コネクタケーブルで5.25/3.5インチベイのフロントパネル(下の写真)に接続できるものもあります。なので、この点も考慮して選びたいですね。
PCIeの物理的な長さを確認
マザーボードの空きPCIeスロットの長さ(レーン数)を確認する
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まず、「PCI」は、「Peripheral Component Interconnect」の略で、CPUと周辺機器(ペリフェラル)との間をつなぐ通信を行うバスアーキテクチャのひとつ。この帯域幅を拡張したのが、「PCIe(PCI Express)」になります。
現在主流のPCIeのリビジョンは「3.0」、「4.0」、「5.0」です。1レーンあたりの転送速度は「3.0」は「8GT/s」、「4.0」は「16GT/s」、「5.0」は「32GT/s」というように高速になっていきます。
また、PCIeには「レーン」という概念があり、これを複数束ねて高速化することも可能です。具体的には、4レーンを束ねたものは「×4」、16レーンを束ねたものは「×16」と表記されます。
そして、マザーボードにあるPCIeスロットの長さはレーン数によって違っていて、「×1」のものは短く、「×16」のものは長くなっています(中には、長さは「×16」と同じで、実際のレーン数は「×4」や「×8」のものもあります)。
ちなみに、マザーボードのPCIeスロットでは、「×1」の次に長いのは「×4」になります(「×2」のスロットはほぼありません)。
USB増設カードのPCIe端子の長さ(レーン数)を確認する
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USB増設カードのPCIe端子の長さも、やはりレーン数によって違っています。こちらは、主に「×1」のものと「×4」のものがあります(上の写真が「×1」の端子で、下の写真が「×4」の端子)。この違いはUSBのバージョンによるもので、USBの速度を活かせるようにUSB 3.2 Gen2(10Gbps、1,000MB/s)では「×4」、3.2 Gen1(5Gbps、500MB/s)では「×1」になっています。
たとえば、マザーボードのPCIeのリビジョンが「3.0」の場合、転送速度は「×1」では8GT/s(985MB/s)、「×4」では32GT/s(3,938MB/s)になります。なので、USB増設カードがUSB 3.2 Gen2(10Gbps、1,000MB/s)の場合、その速度を活かすには、「×4」が必要になります。USB増設カードがUSB 3.2 Gen1(5Gbps、500MB/s)の場合は、「×1」でも十分です。
なので、マザーボードのPCIeのリビジョンと空きスロットのレーン数(長さ)を踏まえたうえで、USB増設カードのUSBのバージョンとレーン数(長さ)も確認して、適合する製品を選びましょう。
なお、USB増設カードは基本的に、マザーボードのPCIeのリビジョン「3.0」、「4.0」、「5.0」のどちらに刺しても動作します。
たとえばレーン数が「×1」の端子を、「×16」のスロットに接続することは物理的に可能です(この場合、速度的には、もちろん「×1」になります)。
逆に、たとえば「×4」の端子を、「×1」のスロットに接続することは、物理的にできません。
【4ポート以下】USB増設カード おすすめ
それではここから、USB増設カードのおすすめ製品を紹介していきたいと思います。まずは、USBポートが4つ以下の製品を紹介し、その後に5つ以上の製品と続きます。
製品によってUSBポートのレイアウトが異なっているものもあるので、頻繁に抜き差しするのかなど自分の使い方を踏まえて見ていってください。
玄人志向 USB3.0RA-P4-PCIE
1,773円(税込)
【USB 3.2 Gen1、PCIe×1、USB-A×4】基本的な機能のみを有したシンプルな製品
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USBのバージョンは3.2 Gen1(5Gbps)、レーン数はPCIe×1、搭載されているUSBポートはUSB-A×4という製品。基本的な機能のみを有したシンプルな製品なので、「USBポートを、とりあえず増やしたい」という場合に選んでおいて間違いないでしょう。
ちなみに、基板上にある白いコネクタはペリフェラル4pinのメスで、補助電源を供給するためのものです。
玄人志向 USB3.0RA-P2H2-PCIE
【USB 3.2 Gen1、PCIe×1、USB-A×2】ロープロファイル対応、基板上のピンコネクタ有り
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USBのバージョンは3.2 Gen1(5Gbps)、レーン数はPCIe×1、搭載されているUSBポートはUSB-A×2という製品。ロープロファイル用ブラケットが付属しているので、スリムタイプのPCにもインストールが可能です。また、基板上にピンコネクタがあるので、5.25/3.5インチベイのフロントパネルを接続して、PC前面にUSBポートを増設することもできます。
ちなみに、基板上にある薄くて黒いコネクタはSATA電源コネクタのメスで、補助電源を供給するためのものです。
玄人志向 USB3.2C-P2-PCIE3
【USB 3.2 Gen2、PCIe×4、USB-C×2】10Gbpsの高速転送、ロープロファイル対応
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USBのバージョンは3.2 Gen2(10Gbps)、レーン数はPCIe×4という高速転送に対応した製品。搭載されているUSBポートはUSB-C×2となっています。USB-Cで転送速度が必要なユーザーに適応しますね。ただし、USB-Aポートはないので、用途が限定されます。そして、ロープロファイル用ブラケットも付属しています。
なお、基板の端部にあるのはSATA電源コネクタのメスで、ここから基盤に補助電源を供給します。
StarTech.com PEXUSB312A1C1H
【USB 3.2 Gen2、PCIe×4、USB-A×2、USB-C×1】10Gbpsの高速転送、USB-AとUSB-Cがあってロープロファイル対応
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USBのバージョンは3.2 Gen2(10Gbps)、レーン数はPCIe×4、搭載されているUSBポートはUSB-A×2とUSB-C×1、基板上にピンコネクタもある製品。USB-AとUSB-Cのポートがあって、ロープロファイルにも対応し、基板上のピンコネクタからフロントパネルでPC前面にUSBポートを増設することも可能という、なかなか使えそうな製品です。
なお、基板上にはSATA電源コネクタのメスで、ここから基盤に補助電源を供給します(マザーボードの電源では足りない場合。USB-Cポートで5V/3A〔15W〕、各USBポートで5V/0.9A〔4.5W〕を供給)。ただし、こうした機能を小さい基盤に詰め込んだためか、価格はやや高めですね。
VBESTLIFE USB3.0増設ボード
【USB 3.2 Gen1、PCIe×1】基板上のピンコネクタのみ(USBポートはなし)、ロープロファイル対応
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USBのバージョンは3.2 Gen1(5Gbps)、レーン数はPCIe×1、USBポートはなしで、基板上にピンコネクタがあるのみの製品。なので、5.25/3.5インチベイのフロントパネルを接続して、PC前面にUSBポートを増設することが前提の製品になりますね。PC背面にはUSBポートを増設する必要がなく、フロントにだけ増設すればいいという場合に適応します。
ちなみに、3.5インチベイのフロントパネルには、次のような製品があります。
JSER 5.25CD-ROMベイ用のマザーボード20ピンコネクタケーブルへのUSB 3.0ハブ4ポートフロントパネル
2,746円(税込)
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JSER U3-101-FBA
1,919円(税込)
【USB 3.2 Gen1、PCIe×1、USB-A×4】ロープロファイル対応でもUSB-Aポートが4基も
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USBのバージョンは3.2 Gen1(5Gbps)、レーン数はPCIe×1、搭載されているUSBポートはUSB-A×4という製品。ロープロファイル用ブラケットが付属していて、スリムタイプのPCに対応しています。この場合、一般的にはUSB-Aポートが2基となるところを、この製品はポートの向きを工夫することで、USB-Aを4基も搭載することができています。なので、スリムタイプPCでUSB-Aポートをたくさん増設したい場合に適応します。
なお、基板の端にあるコネクタはSATA電源コネクタのメスで、補助電源を供給するためのものです。
【5ポート以上】USB増設カード おすすめ
続きまして、USBポートが5つ以上の製品のおすすめを紹介したいと思います。ここまでのポート数を必要とするユーザーはなかなかいないかもしれませんが、「どうせなら多い方がいい」、「多くて困ることはない」ということで検討してみても良いかもです。
Acouto 5ポート USB Type-C to PCI-Eボード
【USB 3.2 Gen1、PCIe×1、USB-A×3、USB-C×2】USBポート数もそれなりに多く、基板上にピンコネクタも
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USBのバージョンは3.2 Gen1(5Gbps)、レーン数はPCIe×1、搭載されているUSBポートはUSB-A×3、USB-C×2で、基板上にピンコネクタもある製品。USB-AとUSB-Cがそれなりに多くあって、さらに基板上のピンコネクタからPC全面へもUSBポートを増設できるので、なかなか使えそうな感じではないでしょうか。
なお、内部のピンコネクタの隣にあるのはSATA電源コネクタのメスで、補助電源を供給するためのものです。
Inateck KU8211
【USB 3.2 Gen2、PCIe×4、USB-A×6、USB-C×2】合計8基のUSBポート、しかも高速転送対応
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USBのバージョンは3.2 Gen2(10Gbps)、レーン数はPCIe×4、搭載されているUSBポートはUSB-A×6とUSB-C×2という製品。合計8基のUSBポートがあり、バージョンは3.2 Gen2と高速なので、なかなか高性能な増設カードなのではないでしょうか。その分、価格は高くなりますが…。
なお、1つのUSB-Cポートと3つのUSB-Aポートで10Gbpsの帯域幅を共有し、もう1つのUSB-Cポートと残り3つのUSB-Aポートで10Gbpsの帯域幅を共有します(下の写真)。そして、合計の帯域幅は最大16Gbpsになります。また、転送速度が最大10Gbpsとなるのは、デバイスを1台のみ接続した場合になります。
Cryfokt 7ポートPCIe USB拡張カード
【USB 3.2 Gen1、PCIe×1、USB-A×7】外部のUSB-Aポートが7基も!
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USBのバージョンは3.2 Gen1(5Gbps)、レーン数はPCIe×1、搭載されているUSBポートはUSB-A×7という製品。USB-Aポートが7基も搭載されているので、「接続するデバイスが多くて、USBポートが足りない…」という事態は、そうそうは起こらないですね。
Ableconn PEX-UB127
【USB 3.2 Gen1、PCIe×1、USB-A×7】USB-Aポートは外部に6基、内部に1基、ロープロファイル対応
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USBのバージョンは3.2 Gen1(5Gbps)、レーン数はPCIe×1、搭載されているUSBポートはUSB-A×7という製品。7基のUSB-Aポートのうち、6基は外部で、1基は内部に搭載されています。なので、内部にUSBデバイスを常設する際に役立つでしょう。
そして、これだけのUSB-Aポートがあるにもかかわらず、ロープロファイルにも対応しているのが驚きです。ただし、外部のUSB-Aポート6基の間隔はかなり狭いので、USB端子の抜き差しはなかなか大変かもしれません。そして、価格はお高めとなっています。
おわりに
今回は、マザーボードのPCIeスロットに接続するUSB増設カードのおすすめ製品を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
PCを使い続けているうちに、USBデバイスがどんどん増えていったとしても、今回紹介したようなUSB増設カードを導入すればUSBポートの数の心配はありません。本記事を参考にしてUSB増設カードを導入し、これからもUSBデバイスをどんどん増やしていってください。