複数のPCやゲーム機、ネットワーク対応TVなどでLAN(Local Area Network)を構築していて、接続する機器が増えてくると、必要になってくるのがスイッチングハブ(Switching HUB)です。
そこで今回は、スイッチングハブを購入する際にチェックしたい点をいくつか見たうえで、ECサイトや家電量販店などで販売されている中から、おすすめ製品を紹介したいと思います。
そもそも、スイッチングハブとは?
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ネットワークにおいて機器を中継する役割を担うのが、ハブ。これには、リピータハブとスイッチングハブがあります。
■リピータハブ
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以前はリピータハブが多く使われていました。リピータハブでは、発信されたデータを全ての機器に送信します。そのため、不要なデータを受け取る端末や、データの送信待ち状態になる端末も出てきてしまい、とても非効率的でした。
■スイッチングハブ
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その後登場したのが、スイッチングハブ。こちらは、発信されたデータの目的地である端末を認識し、そこだけにデータを送信するので、とても効率的です。
現在では、スイッチングハブにほぼ置き換わっていますし、市販されている製品もほぼスイッチングハブになります。
スイッチングハブの選び方
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スイッチングハブを選ぶポイントとしては、対応する速度(ギガビットやジャンボフレームへの対応)、ポートの数、筐体の素材(プラスチック、メタル)、電源を内蔵しているか、などがあげられます。
現在、市販されているスイッチングハブには、以下の機能は基本的に搭載されています。ですので、製品を比較する際にあまり気にしなくも良いでしょう。
■オートMDI/MDI-X
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ネットワーク機器のポートにはMDIとMDI-Xがあり、送信/受信のコネクタが逆になっています。そのため以前は、PC(MDI)とハブ(MDI-X)を接続する場合はストレートケーブル(両端の配線が同じ)、PC(MDI)同士またはハブ(MDI-X)同士を接続する場合はクロスケーブル(両端の配線が逆)といようにケーブルを使い分ける必要があり、管理がとても面倒でした。
そこで登場したのが、MDIとMDI-Xを自動的に切り替える「オートMDI/MDIX」。この機能により、ケーブルの種類を気にせずに接続することができるようになりました。
■全二重通信(Full Duplex)
トランシーバーのように、送信・受信を1度にどちらかしかできない方式を、半二重通信(Half Duplex)といいます。
これに対し、電話のように送信・受信を同時に行える方式が、全二重通信(Full Duplex)です。こちらの場合、理論的には半二重通信の2倍の速度で通信することができます。
■オートネゴシエーション
現在、一般的に用いられるLAN速度の規格には、10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-Tがあります。この速度と、上記の全二重通信(Full Duplex)・半二重通信(Half Duplex)のどれに対応しているかを自動的に判別してくれるのが、オートネゴシエーションです(「ネゴシエーション」は、「交渉」という意味)。この機能により、異なる規格が混在した環境でも、通信速度が最適化されます。
■グリーンイーサネット(EEE:Energy Efficient Ethernet、IEEE802.3az)
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機器の接続状態やケーブルの長さに応じて供給するパワーを少なくし、消費電力を抑える技術です。
基本的にギガビット(Gigabit、1000Mbps)・ジャンボフレーム対応の製品にする
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現在、市販されているスイッチングハブは、基本的に1000BASE-T(1000Mbps、Gigabit〔ギガビット〕)に対応していますが、中には100BASE-TX(100Mbps)までにしか対応していないものもあります。速度に差はありますが、価格的には大きくは変わらないので、やはり前者を選ぶのがオススメです。
また、ギガビットのスイッチングハブは、基本的にジャンボフレーム(Jumbo Frame)に対応しています。ジャンボフレームとは、データの送信単位(フレーム)を標準よりも大きくして、転送効率を向上させる機能。なので、この点からもギガビットの製品が良いと言えますね。
ポート数は、最低限で良いなら”5”、今後の拡張を考慮するなら”8”に
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コンシューマー向けのスイッチングハブには、5ポートの製品と8ポートの製品があります。
LANに接続する機器が多くなく、ポート数が最低限でOKの場合は5ポートの製品で十分です。こちらの方が、費用を抑えられます。
もし今後、LANに接続する機器を増やしていく予定なら8ポートの製品にしておいた方が良いでしょう。
放熱性を考慮するなら、筐体が金属製の製品に
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スイッチングハブには、筐体の素材に金属を採用したものと、プラスチックを採用したものがあります。金属製の方が内部パーツの熱を効率的に放出してくれるので、たとえば風通しが悪い場所などに設置する場合は、金属筐体の製品が適しているでしょう。
放熱性能にこだわらないなら、プラスチック筐体の製品にした方が、コスト的には抑えられます。
設置スペースに応じて、電源内蔵のモデルに
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コンセントの交流電源(AC)を、家庭用の電気製品で使用する直流電源(DC)に変換してくれるACアダプタ。この機能が、スイッチングハブ本体に内蔵されているのが「電源内蔵」のモデルです。
ACアダプタはそれなりの大きさがあるため、コンセントに差したときに他の差込口を塞いだり、置くスペースをとったりなど、邪魔になることがしばしば…。電源内蔵のモデルなら、こうした問題を解消してくれます。ただし、その回路の分、本体サイズが大きくなり、重くなります。
逆に、電源内蔵でないACアダプタ付属のモデルは、本体サイズは小さくなり、軽くなります。
こうしたそれぞれの特徴と、どこに設置するかということもあわせて、どちらのモデルにするかを検討しましょう。
ポートが正面と背面のどちらにあるか
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製品によって、LANポートが背面にあるか、前面にあるかが異なります。
背面にポートがある製品は見た目がスッキリするので、たとえば配置場所が視界に入る場合は、こちらの方が良いでしょう。ただし、前面にある接続状況を示すLEDと、背面のポートとの関係性がパッと見で判断しにくいのがデメリットです。
前面にポートがある製品は、接続状況を示すLEDとポートとの関係性が一目で分かり、LANケープルの抜き差しもやりやすいので、メンテナンス性に優れます。ただし、配線が目に付くので、視界に入る場合にはあまり置きたくないですね。デスクの下など、目につきにくい場所に設置するのに適していると言えるでしょう。
【5ポート】スチッチングハブ おすすめランキング
ここからは、おすすめ製品をランキング形式で紹介していきたいと思います。まずは、5ポートのおすすめ製品を紹介して、その後に8ポートのおすすめ製品と続きます。
さほど拡張性を必要としないで5ポートの製品を選ぶなら、やはりコスパが重要になりますよね。
第1位:バッファロー LSW6-GT-5ESL/NBK
放熱性のよい金属筐体、使いやすいスリムなACアダプタ
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5ポートで1000BASE-T(Gigabit)に対応した、放熱性のよい金属筐体の製品です。
そして、付属しているACアダプタがスリムサイズとなっていて、コンセントに挿した際に隣に干渉しにくくなっています。ACアダプタが大きいと、コンセントに挿すために短めの電源延長コードを用意することがありましたが、この製品ならそれをしなくて済みますね。
第2位:エレコム EHC-G05MN2-HJB
メイン基板に電解コンデンサ不使用で高耐久、放熱性の高い金属筐体、トラッキング現象対策、ループ検知機能を搭載
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5ポートで1000BASE-T(Gigabit)に対応し、放熱性のよい金属筐体、そして(ACアダプタ不要の)電源内蔵の製品。特徴としてあげられるのは、まず、メイン基板に電解コンデンサを使用していないこと(電源部には電解コンデンサを使用)。これにより、50℃での動作と高耐久を実現しています。また、筐体は放熱性の高い金属を採用。コンセントのプラグには、トラッキング現象対策も施されています。
そして、ネットワークのループ構成を検出するとLEDの点滅で知らせてくれる機能も搭載しているので、ループを早めに解消して障害による影響を軽減できそうです。
第3位:TP-Link TL-SG105
放熱性に優れた金属筐体、遅延を低減する技術やIPTVなどを快適にする技術も搭載
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5ポートで1000BASE-T(Gigabit)に対応し、放熱性に優れた堅牢な金属筐体の製品です。
そして、データを通す順番や量を調整して遅延を低減する「QoS」(Quality of Service)、トラフィック配信を最適化してIPTVなどを快適にする「IGMPスヌーピング」も搭載するなど、なかなか高性能な製品となっています。
第4位:バッファロー LSW6-GT-5EPL/NBK
Gigaに対応したローコストモデル、ループ検知機能と節電機能を搭載、丸みを帯びたデザイン
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5ポートで1000BASE-T(Gigabit)に対応しつつも、プラスチック製の筐体とし、電源内蔵ではなくACアダプタを採用することで、コストを低く抑えたエントリーモデル。それでも、ネットワークのループを検出し、LED点滅で知らせてくれる機能を搭載しています。
デザイン的には、角が丸みを帯びていて優しい印象。これには、コードなどが引っかかりにくいというメリットもあります。
LANでは、接続された端末を識別するために、全ての端末に対して発せられる通信があります。この通信はスイッチングハブに届くと、そこ接続されている全ての端末に転送されるので、スイッチングハブの先にスイッチングハブが接続されていれば、そこにも送られることになります。
そのため、スイッチングハブの接続経路にループがあると(例:3つのスイッチングハブを環状に接続するなど)、通信がループし続けることに…。これが起こると、端末は常に受信状態となり、発信ができなくなって、結果的に通信不能な状態となってしまいます。
第5位:TP-Link TL-SG1005D
デザイン性に優れたスタイリッシュな製品、コスパも良好
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滑らかな曲線と光沢感のある天面が美しい、デザイン性に優れた製品。TV・オーディオのラックの上など、目立つ場所に置いても、インテリアの一部として馴染みやすいでしょう。そして、5ポートで1000BASE-T(Gigabit)に対応しつつも、筐体はプラスチック、電源内蔵ではなくACアダプタ採用などで、コスパの良い製品となっています。
ただし、このデザインのために、(電源内蔵でないにもかかわらず)本体の幅が140㎜と大きめになっています。
第6位:バッファロー LSW6-GT-5NS/BK
放熱性に優れた金属筺体、電源内蔵、ループ検知機能を搭載、トラッキング現象対策も
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5ポートで1000BASE-T(Gigabit)に対応し、放熱性のよい金属筐体、そして(ACアダプタ不要の)電源内蔵の製品。電源内蔵ではあるものの、比較的コンパクトなサイズとなっています。
そして、ネットワークのループを検出し、LED点滅で知らせてくれる機能を搭載。また、コンセントのプラグには、トラッキング現象対策も施されています。さらに、本体の底面にはマグネットが付いているので、スチール製のデスクなどにくっつけることができて便利です。ただし、こうした性能の分、価格はやや高めですね。
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トラッキング現象とは、コンセントのプラグに埃と水分が溜まってスパークが発生し、出火してしまうもの。これを防ぐためには、コンセント差し込みプラグの根本にキャップを被せて絶縁する方法が有効です。基本的にコンセント差しっぱなしで使用するスイッチングハブで、この対策がされている製品は、より安心感をもって使用できそうです。
第7位:エレコム EHC-G05PA4-JB
ACアダプタにトラッキング現象対策、ループ検知機能を搭載
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5ポートで1000BASE-T(Gigabit)に対応し、前出の同メーカー製品と同じく、コンセントのプラグには、トラッキング現象対策も施されています。LEDの点滅により、ネットワークのループ構成を検出する機能も搭載しています。また、メイン基板に電解コンデンサを使用しておらず、これにより長寿命設計を実現しています。
【8ポート】スチッチングハブ おすすめランキング
続きまして、8ポートのおすすめ製品をランキング形式で紹介していきたいと思います。
拡張性を考慮して8ポートの製品を選ぶなら、その他の機能にも少しこだわって、性能の高い製品を選ぶとよいのではないでしょうか。
第1位:バッファロー LSW6-GT-8ESL/NBK
放熱性のよい金属筐体、使いやすいスリムなACアダプタ
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前出の「バッファロー LSW6-GT-5ESL/NBK」の8ポートのモデル。以下、再掲。
1000BASE-T(Gigabit)に対応した、放熱性のよい金属筐体の製品です。
そして、付属しているACアダプタがスリムサイズとなっていて、コンセントに挿した際に隣に干渉しにくくなっています。ACアダプタが大きいと、コンセントに挿すために短めの電源延長コードを用意することがありましたが、この製品ならそれをしなくて済みますね。
第2位:バッファロー LSW6-GT-8NS/NBK
放熱性に優れた金属筺体、電源内蔵、ループ検知機能を搭載、トラッキング現象対策も
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前出の「バッファロー LSW6-GT-5NS/BK」が8ポートになったモデル。以下、再掲。
1000BASE-T(Gigabit)に対応し、放熱性のよい金属筐体、そして(ACアダプタ不要の)電源内蔵の製品。電源内蔵ではあるものの、比較的コンパクトなサイズとなっています。
そして、ネットワークのループを検出し、LED点滅で知らせてくれる機能を搭載。また、コンセントのプラグには、トラッキング現象対策も施されています。さらに、本体の底面にはマグネットが付いているので、スチール製のデスクなどにくっつけることができて便利です。ただし、こうした性能の分、価格はやや高めですね。
第3位:TP-Link TL-SG1008D
デザイン性に優れたスタイリッシュな製品、コスパも良好
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前出の「TP-Link TL-SG1005D」が8ポートになったモデルで、幅が180㎜と大きくなります。以下、再掲。
滑らかな曲線と光沢感のある天面が美しい、デザイン性に優れた製品。TV・オーディオのラックの上など、目立つ場所に置いても、インテリアの一部として馴染みやすいでしょう。そして、5ポートで1000BASE-T(Gigabit)に対応しつつも、筐体はプラスチック、電源内蔵ではなくACアダプタ採用などで、コスパの良い製品となっています。
ただし、このデザインのために、(電源内蔵でないにもかかわらず)本体の幅が大きめ(180㎜)になっています。
第4位:エレコム EHC-G08MN2A-HJB
メイン基板に電解コンデンサ不使用で高耐久、トラッキング現象対策、ループ検知機能を搭載
出典:www.amazon.co.jp
前出の「エレコム EHC-G05MN2-HJB」が8ポートになったモデル。以下、再掲。
1000BASE-T(Gigabit)に対応し、放熱性のよい金属筐体、そして(ACアダプタ不要の)電源内蔵の製品。特徴としてあげられるのは、まず、メイン基板に電解コンデンサを使用していないこと(電源部には電解コンデンサを使用)。これにより、50℃での動作と高耐久を実現しています。また、筐体は放熱性の高い金属を採用。コンセントのプラグには、トラッキング現象対策も施されています。
そして、ネットワークのループ構成を検出するとLEDの点滅で知らせてくれる機能も搭載しているので、ループを早めに解消して障害による影響を軽減できそうです。
第5位:TP-Link TL-SG508
放熱性に優れた金属筐体、遅延を低減する技術やIPTVなどを快適にする技術も搭載
出典:www.amazon.co.jp
前出の「TP-Link TL-SG105」とほぼ同様の機能を有する製品ですが、マウント用のマグネットが付属している点が異なります。以下、再掲。
1000BASE-T(Gigabit)に対応し、放熱性に優れた堅牢な金属筐体の製品です。
そして、データを通す順番や量を調整して遅延を低減する「QoS」(Quality of Service)、トラフィック配信を最適化してIPTVなどを快適にする「IGMPスヌーピング」も搭載するなど、なかなか高性能な製品となっています。
おわりに
今回はスイッチングハブのおすすめ製品を、ポート数で分けて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
一度設置したら操作等をすることもなく、存在を忘れてしまいがちなスイッチングハブですが、LANにおいて端末同士をリンクさせる、とても重要な機器です。ただ、忘れているということは正常に動作しているということであり、それはそれでいいのかも…。そんなLANを陰で支えてくれる大切なスイッチングハブを、上記を参考に入手して、安定したネットワークを築いてくださいね。