省スペースで設置しやすいスリムタワーを導入するユーザーが増えています。サイズ的には小さくても、今どきはパーツの性能が向上しているので、それなりの性能のPCを組み上げることができますからね。
というわけで今回は、スリムタワーを選ぶ際に確認したい点などを説明したうえで、ECサイトで入手できる製品のうちのおすすめを紹介していきたいと思います。
スリムタワーPCケースの選び方
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それでは早速、スリムタワーPCケースを選ぶ際のポイントを解説していきたいと思います。
対応するマザーボードの規格を確認する
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マザーボードのうち最も一般的なフォームファクタであるATXはサイズが305×244㎜、PCIスロットは×7、メモリスロットは×4です。これは基本的に、ミドルタワー以上のPCケースが対応します。
そして、よりサイズの小さなスリムタワーでは、次のようなATXより小さいマザーボードを使用することになります。
ほとんどのスリムタワーPCケースはMicro-ATXとMini-ITXの両方に対応しています。ただし中には、より小さいMini-DTXまたはMini-ITXにしか対応していない製品もあるため、この点は要確認です。
ドライブベイの数を確認する
2.5インチ・3.5インチベイの数は最低限の数で可
最近はマザーボードに装着するM.2 SSDも普及していますし、2.5インチのSSDや3.5インチのHDDは大容量化が進んでいるので、2.5インチ・3.5インチを搭載するベイの数は、最低限で可でしょう。
もし、古いHDDを活用したい場合に、3.5インチベイがいくつかあった方が良いかも、というくらいです。
光学ドライブ用のベイは、あまり気にしなくてもよい
ほとんどのスリムタワーPCケースには、光学ドライブ用のスリムドライブベイまたは5.25インチベイが搭載されています。しかし、これらを使用するユーザーは多くありません。なぜなら、最近はPCソフトをCD-ROMで配布することも少なくなり、ネットからダウンロードするのが一般的ですし、映像作品を鑑賞する場合にもDVDやBlu-rayではなく、ネットの配信サービスを利用することが多いからです。
なので、CD-ROMやDVDを読み込むための光学ドライブを積む必要はほとんどなく、したがって光学ドライブ用ベイはあまり気にする必要はないでしょう。
搭載できるCPUクーラーの高さを確認
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サイズが小さいスリムタワーPCケースは、やはり対応可能なCPUクーラーの高さも小さくなります。なので、どれくらいの高さまで対応しているのかをしっかり確認しましょう。
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スリムタワーPCケースは幅が狭いため、基本的に、通常サイズの拡張カードはではなく、上図のようなブラケット幅の狭いロープロファイルの拡張カードを装着する仕様になっています。なので、グラフィックボードなどの拡張カードを組み込むのであれば、ロープロファイル対応のものにする必要があります。
なお、ロープロファイル(Low Profile)は、PCIの小型規格のことです。上図にあるように、規格の幅は、従来のPCIはボード312(または173)×107㎜/ブラケット120㎜でしたが、ロープロファイルではボード120(または168)×64㎜/ブラケット80㎜と、かなり小さくなっています。
搭載されてる電源ユニットの容量を確認
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スリムタワーPCケースは内部スペースが狭いので、最も一般的な外形寸法の規格であるATX電源ユニット(W150×H86×D140㎜など)を搭載することはできません。そのため、スリムタワーPCケースには通常、外形寸法がより小さいまたはスリムな規格であるSFX電源ユニット(W125×H64×D100㎜など)やTFX電源ユニット(W85×H65×D175㎜など)が付属しています。
付属しているSFX・TFX電源ユニットの容量(W〔ワット〕数)は300Wのものが多くなっていますが、製品によっては容量がより小さいものもあるので、この点を確認しましょう。
搭載できる冷却ファンの数と外形寸法を確認
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スリムタワーPCケースは、搭載可能な冷却ファンの数も限られていますし、その外形寸法も小さくなります。なので、(冷却性能を重視する場合は特に)搭載できる冷却ファンの数と外形寸法を確認しましょう。
設置予定のスペースに収まる外形寸法にする
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サイズが小さいのがメリットのスリムタワーPCケース。ただし、製品によって外形寸法(高さ×幅×奥行き)はそれぞれ違っています。そのため、基本的なことですが、設置する予定のスペースを確認しておき、そこにちゃんと入る製品を選びましょう。
【Micro-ATX対応】スリムタワーPCケース おすすめランキング
それではここから、スリムタワーPCケースのおすすめ製品をランキング形式で紹介していきたいと思います。
まずは、Micro-ATX対応の製品を紹介し、次にサイズがより小さいMini-ITX対応の製品と続きます。
第1位:KEIAN KX-M01
幅103㎜のスリムなボディ
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ドライブベイは、2.5・3.5インチベイが計3つ、5.25インチ対応の光学ドライブ用ベイが1つの製品。拡張スロット(ロープロファイル)は4つとなっています。
そして、幅が103㎜と、Micro-ATX対応のケースでは比較的スリムです。冷却ファンは標準では付属していませんが、2.5インチベイと排他でトップとボトムにそれぞれ80㎜ファン×1(合計で×2)を搭載可能です。電源ユニットは、300W SFXのものを標準搭載。縦置き(スタンドが付属)と横置きの両方に対応しています。
第2位:サイズ OTTER
標準でトップに80㎜ファンを1基搭載
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ドライブベイは、2.5・3.5インチベイが計4つ(それぞれ1つは5.25インチベイと排他利用)、5.25インチ対応の光学ドライブ用ベイが1つの製品。拡張スロット(ロープロファイル)は4つとなっています。冷却ファンは、標準で80㎜のものがトップに1基搭載されていて、ボトムにも同サイズのものが1基搭載可能です。拡張カードは、最大で長さ220㎜のものを搭載できます(搭載する光学ドライブが奥行き170㎜の場合)。
標準で搭載されている電源ユニットは、SFXの300Wです。縦置き(スタンドが付属)と横置きの両方に対応しています。
第3位:NEW LEAGUE ANSWER V1
シンプルスペックで標準的な製品
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ドライブベイは、2.5・3.5インチベイが計4つ(3.5インチベイの1つは5.25インチベイと排他利用)、5.25インチ対応の光学ドライブ用ベイが1つの製品。拡張スロット(ロープロファイル)は4つとなっています。
冷却ファンは標準では付属していませんが、トップとボトムにそれぞれ80㎜ファン×1(合計で×2)搭載可能となっています(ファン設置場所は2.5インチベイを兼ねているので、排他利用となる。ユーザーレビューより)。電源ユニットは、300W SFXのものを標準搭載。縦置き(スタンドが付属)と横置きの両方に対応しています。
第4位:ANTEC Value Solution Series VSK2000-U3
90㎜冷却ファンが標準でフロントに1基、幅が100㎜とスリムな形状
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ドライブベイは、2.5・3.5インチベイが1つずつ、5.25インチ対応の光学ドライブ(奥行き170㎜まで)用ベイが1つの製品。拡張スロット(ロープロファイル)は4つとなっています。冷却ファンは、標準でフロントに90mmのものが1基搭載済み。これは温度センサーによるファン回転速度自動制御に対応したファンで、温度センサーは任意の場所に設置することができます。
幅が100㎜とスリムで、縦置き(スタンドが付属)と横置きの両方に対応。ただし、電源ユニットは標準では付属していないので、TFX電源(175㎜まで)のものを別途用意する必要があります。
第5位:INWIN IW-CE685 E BLACK
80PLUS BRONZE認証のTFX電源 300Wを搭載、標準でフロントに90㎜の冷却ファン、幅96㎜のスリムタイプ
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ドライブベイは、2.5・3.5インチベイが1つずつ、5.25インチ対応の光学ドライブ用ベイが1つの製品。拡張スロット(ロープロファイル)は4つとなっています。冷却ファンは標準で、フロントに90㎜のものが搭載されています。そして、Micro-ATX対応のケースでは比較的スリムで、幅が96㎜となっています。
標準で搭載されている300W SFXの電源ユニットは、電源変換効率が80%以上の「80PLUS BRONZE」認証を受けたモデル。縦置き(スタンドが付属)と横置きの両方に対応しています。
【Mini-ITX対応】スリムタワーPCケース おすすめランキング
続きまして、Mini-ITX対応のおすすめ製品をランキング形式で紹介していきたいと思います。
サイズがより小さいMini-ITX対応なので、PCケースのサイズもよりコンパクトになって、省スペース化により貢献してくれるでしょう。
第1位:In Win IW-BQ656/150N-U3
VESAマウント対応で液晶モニターの背面に設置が可能、サイドパネルにはエアフローを改善するメッシュデザインを採用
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ドライブベイは、2.5インチベイが1つ、スリムドライブ対応の光学ドライブ用ベイが1つという、かなり思い切った(拡張性の低い)の製品。その分、コンパクトなサイズ(H225×W76×D193㎜)となっていて、VESAマウント対応で液晶モニターの背面に設置することができます。デスク上などに設置する場合には、縦置き(スタンドが付属)と横置きの両方に対応しています。
ファンの取り付けスペースはありませんが、エアフローによる冷却のために、サイドパネルにはメッシュデザインが採用されています。標準で搭載されている150W SFXの電源ユニットは、電源変換効率が80%以上の「80PLUS BRONZE」認証を受けたモデルです。
第2位:SilverStone SST-RVZ02B
幅87㎜とスリムながらもグラフィックボード搭載が可能
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ドライブベイは、2.5または3.5インチベイが1つ、スリムドライブ対応の光学ドライブ用ベイが1つの製品。そして、幅が87㎜というスリムなケースながらも、長さ330㎜、幅121㎜までのグラフィックボードの装着が可能となっています。
電源ユニットは付属せず、別売りのSFXまたはSFX-Lのものを搭載することができます。縦置き(スタンドが付属)と横置きの両方に対応です。
第3位:SilverStone SST-ML10
ケースサイズを2パターンから選べる、VESAマウント対応で液晶モニターの背面に設置が可能
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ドライブベイは、2.5インチベイが2つ、または3.5インチベイが1つで、9.5㎜スリムドライブ対応の光学ドライブベイが1つの製品。
そして、最大の特徴が「標準トップカバー」と「嵩上げトップカバー」が付属し、ケースサイズを選べるということ。コンパクトさを求めるなら前者で、拡張性を重視するなら後者というように、ニーズに応じたPCとすることができます(前者と後者で拡張性が異なります。詳しくはメーカーページを参照)。また、VESAマウントにも対応し、液晶モニターの背面に設置することも可能。デスク上などに設置する場合には、縦置きと横置きの両方に対応しています。なお、電源は別売りのACアダプターを使用します。
おわりに
今回は、スリムタワーPCケースのおすすめを、Micro-ATXまで対応の製品と、Mini-ITXまで対応の製品で分けて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
コンパクトを優先させると、どうしてもスペックや拡張性が犠牲になる部分もありますが、それでもメーカーの創意工夫によって、尖った性能を有した製品もあります。上記を参考にして是非、コンパクトながらもどこかスペックの尖った自分らしいPCを組み上げてくださいね。