PCを使っていて、写真やムービーなどのデータがどんどん増えてしまった場合、大容量の3.5インチHDDを外付けケースに入れてUSB接続にし、そこに保存する方法が簡単です。
そこで今回は、3.5インチHDD用の外付けケースを購入する際に確認したいポイントを説明したうえで、ECサイトなどで入手できる製品の中から、機能やコスパで比較したおすすめを紹介したいと思います。
3.5インチHDD用外付けケースの選び方
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3.5インチHDD(ハードディスクドライブ)には18TBや22TBなど超大容量のものがあるのが魅力。たくさんの動画や写真などのデータの保存用に適しています。これをPCの内部に組み込んでもいいのですが、ドライブベイに空きがなかったり、そもそもPC内部に手を出すのは無理といった人の場合には、外付けケースに入れて使うのがお手軽で良いですね。
それでは以下に、3.5インチHDD用の外付けケースを選ぶ際のポイントを見ていきましょう。
USBのバージョンと形状を確認
USBのバージョンは基本的にUSB 3.2 Gen1
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現在市販されている3.5インチHDD用の外付けケースは、基本的にUSB 3.2 Gen1(信号速度5Gbps、データ転送速度500MB/s、理論値、以下同)に対応しています。さらに、USB 3.1 Gen2(10Gbps、1,000MB/s)、USB 3.1 Gen2×2(20Gbps、2,000MB/s)に対応している製品もあります。ただし、HDDの転送速度はだいたい220MB/s程度なので、USB 3.2 Gen1でも十分に対応できます。
現在、一般的に使用されているUSBのバージョンには、2.0、3.0、3.1、3.2があり、3.1と3.2にはGen1とGen2があって、さらに名称変更だけされて転送速度は変わらないなど、非常にややこしいのですが、まとめると次のようになります。
USB2.0 | |||||
USB 3.0 | USB 3.1 Gen1 | USB 3.2 Gen1 | |||
USB 3.1 Gen2 | USB 3.2 Gen2 | ||||
USB 3.2 Gen2×2 |
USB-Cポートを採用した製品も(小さくて、向きを気にせず接続できる)
左がUSB-Cポートを、右がUSB-Bポートを採用した製品
製品の中には、ポートが新しい形状となったUSB Type-C(USB-C)を採用しているものもあります。USB-Cポートなら、スマホなどで使っているUSB-Cケーブルを転用できたりして何かと便利なので、この点を確認しましょう。
また、USB-Cポートは、従来のUSB Type-B(USB-B)ポートよりもサイズが小さく、上下左右が対照の形状なので、向きを気にせずに接続できます(以前のUSBは「向きが逆で差し直し」ということがよくありましたが、USB-Cでは解消!)。
UASP対応なら実効速度が高まる
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USBの拡張仕様のひとつとして、UASP(USB Attached SCSI Protocol)があります。これは、HDD(そしてSSDも)とのデータ転送を効率化し、実効速度を高める技術です。
UASPはOSも対応している必要がありますが、最近のOSならサポートしているので、USB機器側が対応していれば利用可能となります。なので、少しでも転送速度を上げたいならUASP対応の製品にするとよいですね。
放熱性を考慮するならアルミボディ、軽さならABS樹脂製ボディ
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ケースに組み込んだHDDを稼働させると当然、熱が発せられます。この熱を効率よく放出するために、アルミボディを採用した製品も販売されています。なので、長時間の書き込み・読み込みを頻繁に行ったり、エアフローの少し悪いところに設置するなどの場合で、HDDの発熱が気になるなら、アルミボディを採用した製品を選びましょう。
もちろん、ABS樹脂製ボディの製品だからといって、HDDがすぐに壊れるということありません(メーカーもテストはしているはずですしね)。また、ABS樹脂の方がアルミより重量が軽くなるので、持ち運びが容易になります。
PCとの電源連動・スリープモードで省電力を実現
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外付けケースに入れたHDDの電源を常時ONにしておくのは、電気代がもったいないですし、エネルギーの無駄遣いになるので、やりは気が引けますよね。こうしたことを考慮して、PCとの電源連動やスリープモードなどの省電力機能を搭載した製品もあります。
ただ、どのような省電力機能なのかは製品によって異なるので、この点を確認して、自分の使い方に適したものを選びましょう。
HDDの最大容量の表記はそこまで気にしなくても可
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外付けケースのスペックには「最大16TBのHDDに対応」といった表記がされているものがあります。しかし、これは「16TBまでしか対応していない(16TBを超えると認識しない)」ということではありません。こうした表記は一般的に、外付けケースが発売された時点で市場に出ている最も大容量のHDDをテストして確認が取れたものを記載しているだけであって、規格的には表記より大きな容量のHDDでも認識します。ですので、スペックにある最大容量はそこまで気にしなくてもよいと言えます。
複数台のHDDを搭載可能なケースも
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外付けケースに搭載できるHDDは、なにも1台のみとは限りません。複数台のHDDを搭載可能なケースも発売されています。こうした製品なら、複数台のHDDをそれぞれケースに入れるよりも省スペースですし、USBや電源のケーブルをスッキリさせることができます。なので、現在複数台のHDDを運用しているユーザーはもちろん、今後HDDを増やしていく予定のあるユーザーも、こうした製品を選んでおくのが良いでしょう。
IDE(旧規格)のHDDも諦める必要はなし
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HDDの接続規格はSATA3.0が主流ですが、往年の自作PCユーザーの中には、「昔使っていたIDE(旧規格)のHDDを、今でも大切に所持している」という人がいるかもしれません(筆者もその一人)。こうしたIDEのHDDをPCに繋ぎたい場合でも、対応する外付けケースがあるので、これを利用すれば簡単に実現することができます。なので、一台持っておいても良いかもしれません。
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写真の上がIDE、下がSATA3.0。このように、コネクタの形状が異なります(写真は変換アダプタ)。
IDEよりSATA3.0の方が高速
旧規格であるIDEの最大転送速度は133MB/sです。現在、HDDや2.5インチSSDで採用されている規格はSATA3.0で、こちらの最大転送速度は6Gbps(600MB/s)と、かなり高速になっています。
【アルミボディ】3.5インチHDD用外付けケース おすすめランキング
それではここから、おすすめ製品をランキング形式で紹介していきたいと思います。まずは、アルミボディの製品を紹介し、その後にABS樹脂製ボディの製品と続きます。冷却性能の高いアルミボディで中のHDDの熱を逃がせば、長寿命が期待できます。
なお、ケースの大きさ的には3.5インチHDD用ですが、前述のように2.5インチのSSDを搭載することもできるので、そうした活用もアリです。
第1位:ORICO 3588US3-V1
簡単着脱でお手軽、アルミパネルを採用、UASPモードに対応、自動スリープ機能搭載
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蓋を開けて、ドライブを挿入して蓋を閉じるだけという簡単機構が特徴。ドライブ固定のためのネジはありませんが、内部のスポンジマットによってしっかり固定され、振動も防止できるようになっています。ケースの素材はアルミで、効率的な放熱が可能。また、ボディとロゴのデザインは、見た目的にもクールな印象で良いのではないでしょうか。
UASPモードにも対応しているので、高速転送が期待できます。10分間アクセスがないとHDDの回転を止める自動スリープ機能も搭載です。
第2位:玄人志向 GW3.5AM-SU3G2P/S
3.2 Gen2で高速ストレージに対応、電源連動+アクセス連動の省電力モデル、システムバックアップ & SSD入れ替えソフトが付属
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特徴は、最新の3.2 Gen2(1,000MB/s)に対応していること。このケースなら、たとえば転送速度560MB/sの2.5インチSSDを搭載してもボトルネックにならず、性能を余すことなく引き出してくれます。ボディにはアルミを採用しているため、放熱性にも優れます。
省電力機能は、PCとの電源連動に加え、アクセス連動(一定時間アクセスしないとHDDの回転がストップして、消費電力を抑えることが可能)も備えています。また、付属するUSBケーブル2種類で、1つはType-A、もう1つはType-C。なので別途USBケーブルを用意しなくても、幅広いPCに対応することが可能となっています。そして、システムバックアップ & SSD入れ替えソフトが付属しています。
第3位:アイネックス HDE-08
美しいヘアライン仕上げ、電源連動+エコスリープ機能でエコ、UASPモードに対応
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ボディに放熱性能の高いアルミを採用し、そのアルミには美しいヘアライン加工が施されている製品です。光が当たる角度が変わるときに、ヘアライン加工の良さが分かりますね。
省電力機能としては、PCの電源に連動してON/OFF、一定時間アクセスがないときにHDDの回転を止めるエコスリープ機能を搭載。UASPモードにも対応していて、高速転送が可能です。
第4位:ロジテック LHR-EKWU3BK
放熱性に優れたアルミボディ、艶消し加工で指紋やキズが目立ちにくい、UASPモードに対応、オリジナルツールがダウンロード可能
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優れた放熱性を実現するアルミボディを採用した製品。アルミには艶消し加工が施されていて、指紋やキズが目立ちにくい仕様となっています。ボディの角は丸くなっていて、縦置きスタンドはアーチタイプと、インテリア性も高いですね。
高速伝送を実現するUASPモードにも対応。また、ロジテックのオリジナルツール、フォーマットソフトの「Logitecディスクフォーマッタ」、HDDの中身を完全に削除する「Logitecディスクイレイサ」、バックアッフソフトの「Logitecミラーリングツール」もダウンロードできるので、いろいろ役に立ちそうです。
第5位:ORICO NS400C3(4台対応)
4台のHDDを搭載可能、マグネット吸着で簡単インストール、USB-Cポート採用、背面に92㎜ファン搭載で高い冷却性能
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4台の3.5インチHDDを搭載できる外付けケース。16TBのHDDを4台搭載した場合は、計64TBの超大容量外付けディスクとして使用できます。映像関係の仕事をしているなどで、日々大きな容量の映像データを扱っている場合などに適しているでしょう。転送速度は、リードが448MB/s、ライトが441MB/sとなっています。また、USB-Cポートが採用されています。
HDDのインストールは簡単で、HDDを差し込んでマグネット吸着式のフロントカバーをくっつけるだけ。ツール不要で、3秒で完了します(メーカー)。リアはハニカム式放熱構造で、そこに92㎜冷却ファンを搭載。アルミボディと相まって、HDDからの熱を効率よく放出してくれます。
ただし、4台の3.5インチHDDを搭載できる分、外形寸法は大きくなり、223×129×134㎜もあります。設置場所をあらかじめ考えてから導入するのが良いですね。
第6位:タイムリー GROOVY IDE-CASE3.5(IDE HDD専用)
IDE HDD専用の外付けケース、ネジを使わない簡単組立、データ復旧ソフト(体験版)が付属
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旧規格であるIDE HDD専用の外付けケースです。IDEの最大転送速度は、前述のように133MB/sですが、実際にはもっと遅いということもあって、この外付けケースにはUSB 2.0(60MB/s)が採用されています(IDEが主流だった頃には、USB 3.0はまだ普及しておらず、USB 2.0が最速だったということもありますね)。
HDDの組み込みにネジは使わず、ケースのスライドレールを脱着するだけで簡単にできる仕様です。データ復旧ソフト「ファイナルデータ特別体験版」も付属しています。ただし、古い規格ということもあって、UASPモードや省電力機能には対応していません。
【ABS樹脂製ボディ】3.5インチHDD用外付けケース おすすめランキング
続きまして、ABS樹脂製ボディのおすすめ製品をランキング形式で紹介していきたいと思います。重量の軽いABS樹脂製ボディの製品なら、カバンに入れて持ち運ぶのも容易になります。
第1位:UGREEN 70310
ハニカムデザインで放熱性能を確保、ツールレスで簡単、自動スリープ機能搭載、UASPモード対応
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ボトムとサイドにハニカムデザインを採用した製品です。これにより、放熱性能を確保しています。やはり「ABS樹脂がそのままだと、熱がこもるのが心配」という場合に適していますね。HDDのインストールはツールレスで行うことができ、スライド式のカバーを外し、HDDを装着してカバーを閉めるだけです。
省電力機能としては、15分の未使用状態が続くと自動的にスリープモードに入る仕様となっています。高速転送を実現するUASPモードにも対応しています。
第2位:ORICO 3139U3(透明ケース)
スケルトンなホディで内部のHDDの容量・型番がすぐ分かる、スライド式のカバーで簡単インストール、UASPモード対応
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一目で分かる最大の特徴が、このスケルトンなホディですね。インパクトのあるビジュアルというだけでなく、内部のHDDの容量・型番がすぐ分かるという実用性もあります。HDDのインストールにツールとネジを使わず、スライド式のカバーを外してHDDを装着し、カバーを閉めるだけと3秒でできます(メーカー)。高速伝送を実現するUASPモードにも対応しています。
ただし、スリープなどの省電力機能はなく、特に放熱性を向上させる機構はないようです。なので、この見た目が気に入ったら“買い”ということになりますね。
第3位:ORICO DDW35-C3
カーボン調のデザイン、ツールレスでインストール、USB-Cポートを採用、UASPモード対応、自動スリープ機能搭載
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カバーのカーボン調デザインが印象的なHDDケース。クールな感じがあって、シックなインテリアなどにマッチしそうです。このカバーはスライド式となっており、ツールレスで脱着ができるので、HDDのインストールは簡単です。
そして、USB-Cポートを採用し、USB-C to USB-Cケーブルには、USB-Aへの変換アダプタが付いているので、使い回しがしやすそう。高速伝送を実現するUASPモードにも対応しています。10分間の未使用時にスリープする機能も搭載です。
第4位:ORICO DS500U3(5ベイ)
5台のHDDを搭載可能、UASPモード対応で230MB/sの高速転送、磁気吸着デザインで簡単インストール、冷却ファン+対流型通気孔、自動スリープ機能搭載
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5台のHDDを搭載することのできる外付けケースです。18TBのHDDを5台の場合は、計90TBの超大容量のストレージとして使用することができます。UASPモードにも対応していることもあって、転送速度は230MB/sとHDDとしてはかなりの高速となっています。また、ツール不要の磁気吸着デザインを採用し、上カバーを開けるだけでHDDの脱着が可能です。
放熱にも配慮されていて、バックパネルにはたくさんの放熱穴がメッシュ状にあり、底部に搭載された冷却ファンによってエアーが通り抜ける構造になっています。これなら、HDDの発熱をかなり低減させることができるでしょう。省電力機能としては、10分間の未使用時にスリープする仕様となっています。
おわりに
今回は、3.5インチHDDをインストールするUSB接続の外付けケースを、アルミボディの製品とABS樹脂製ボディの製品で分けて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
外付けケースは、PCを使用していてどんどん溜まっていく膨大なデータを保存するのに、とても便利なアイテムです。上記を参考にして3.5インチHDD用の外付けケースを導入し、容量と心に余裕を持ちながらデータを保存し続けてださいね。